ロシア、インドの〝反応〟
ロシア・プーチン大統領と停戦について電話で話をしていたトランプ大統領は、停戦に進展がないことから、7月14日の北大西洋条約機構(NATO)マルク・ルッテ事務総長との会談時に、50日以内に停戦がない場合には、ロシアの貿易相手国に対し100%の関税を課す案を発表した。中国とインドの2国が対象とされているが、詳細についての発表はない。
トランプ大統領は、プーチン大統領との会談について聞かれ次のように不快そうに答えている「非常に良い会話をした後、ロシアはしばしばウクライナを大規模空爆する。それが大規模化し、頻度も多くなっている。3、4回続けば、会談には何の意味もないと分かる」。
このトランプ案に対しモスクワは、「はったり」だから相手にしないと反応しているようだ。
また、インドのプーリー石油相の反応については、現地紙は次のように伝えている。 「必要があれば、どこからでも石油は購入可能。私もモディ首相も何もプレッシャーを感じていない。ロシアのウクライナ侵攻前にはロシアからの購入量は1%もなかったが、今は35%になった。供給途絶の準備はしている。たとえば、万が一ホルムズ海峡が封鎖されても、21日から25日分の貯油があるので心配はない」。
また、欧州による上限価格についてきかれ、次のように答えている「上限価格は輸入禁止ではない。上限価格より安く変えるのであれば、消費者のためだから当然購入する」。
インドは、楽観的に考えているようだが、プーリー石油相の発言の翌日、ECはロシアへの制裁の強化を発表した。
強化するロシアへの制裁
ECは7月17日に、依然として輸入せざるを得ないロシアからのパイプラインガスとLNGを27年末までに購入中止とする以下のスケジュールを発表した。
・26年1月1日以降 新規のガス購入契約の禁止
・26年6月17日 現行の短期契約からの購入停止
・27年末 長期契約に基づく購入停止
翌7月18日にECはロシアに対する第18弾の制裁を発表したが、その中に原油価格が下落したことを受けた上限価格の見直しなどが含まれていた。
・1バレル当たり60ドルに設定されている上限価格を、市場価格を15%下回るレベルに設定し、47.6ドルとする。
・ノルドストリーム1と2のパイプラインを使用禁止にする
・ロシア産原油を利用し第3国で精製された石油製品を輸入禁止にする
・105隻を新たに影の船団と認定し入港禁止、港湾サービスの提供禁止にする
ロシア産原油から石油製品を製造し欧州に輸出しているインドには痛手となるが、ECのエネルギーに関する制裁には抜け穴があり、今までは実効性に疑問があった。
トランプの2次関税、ECの制裁強化はインド経済に影響を与えるのだろうか。イーロンマスクも心配しているかもしれない。
