2025年12月16日(火)

WEDGE REPORT

2025年12月3日

外国人にとって値段が高いか低いかがポイント

 こうした日本の状況に香港人からは「中国人が購入するようになって香港の住宅価格が想像以上に上昇した。もう少し価格が下がるのを期待しているところ。日本の不動産を購入するつもりはないけど、安いと感じるので、外国人が購入したくなるのは理解できる」といった声が聞かれた。

 世界中の人が家を買う時、価格、大きさ、立地などの各々が持っている条件があるが、最終的にはローンを組んでの支払総額がいくらになるのかが大きな要素となる。外国人はローンを組まずにキャッシュで購入するかもしれないが、総額が大事なのは日本の家を買う時も変わらない。民間のデベロッパーは、5年間の転売禁止、物件引渡し前に転売活動をした場合は手付金を没収するなどの対策を始めているが、投機は「割に合わない」と思わせる施策だ。

 日本政府による一元管理とデータの透明化による実態把握は、外国人に対する不動産政策を推進する上での第一歩。香港を参考にするかどうかはわからないが、外国の政策も参考にした上で、世界貿易機関(WTO)が定めるルールとの整合性をとりながら、印紙税や空き室税などを導入するのだろう。

 香港は、基本の不動産価格が高額ゆえに印紙税を課するだけでそれなりの効果があった。日本はベースとなる価格が外国人にとっては安いので、日本政府が何らかの税を導入する場合、税率は大きな要素だ。

 日本人目線ではなく、ある意味、外国人目線で政策を考えないと効果は薄い。賃上げが始まっているが緩やかな上昇なので、正しい政策をしないと、日本人はいつまでも買い負け続けることになる。

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