舞台女優としても定評がある清原は、26年夏にブラックコメディ『 レディエント・バーミン』の公演が予定されている。
清原は、23年度の読売演劇大賞において、『ジャンヌ・ダルク』の主演の演技が認められて、優秀女優賞と杉村春子賞」を受賞している。この舞台を観た。ジャンヌ・ダルクが民衆を率いるその姿は迫力があった。アクションスターとしての体幹の力に舞台のそれが加わった。
世界の是枝裕和監督の秘蔵っ子の蒔田彩珠はどうか。ドラマ『ゴーイング マイ ホーム』（関西テレビ＆テレビマンユニオン制作、12年）の子役として、脚本・監督の是枝監督と出会った蒔田は、子役から娘役に脱皮した。
日曜劇場『御上先生』（25年）では、文部科学官僚から実験的に高校の先生として派遣された、松坂桃李の担任のもとでリーダー格の女性徒を演じた。
最新公開の映画『消滅世界』（川村誠監督）では、子どもは人工授精に限定されるディストピアの中で、母親の意思で父との間に生まれて差別される女性を演じた。原作は世界的に読者を獲得している『コンビニ人間』の作者・村田沙邪香の同名小説。
娘役から大人の女性役に脱皮の途上であることを印象づけた。脱皮させるのは、彼女を起用しつづけている是枝和裕監督にかかっていると思う。脱皮の瞬間を早く観たいものである。
まだまだいる、注目の若手
若手女優のトップグループに肉薄する、女優たちで「回顧と展望」を締めくくることにしよう。
Netflix配信の大ヒットドラマ『First Love 初恋』（22年、寒竹ゆり監督）で、Ｗ主演の佐藤健の恋人役だった、満島ひかりの少女時代を演じた八木莉可子は、中村ゆりの作品として触れた『終幕のロンド－もう二度と、会えないあなたに－』に重要な役を担った。
遺品整理会社に勤める嗅覚喪失の新入社員として登場。母親の虐待とそれに伴う依存症が原因だった。同僚の塩野瑛久と結ばれる。複雑な心理を見事に演じていた。なかなか難しい役どころである。
『ぼくたちん家』（25年10月～12月、日本テレビ）において、輝くばかりの美少女を発見して驚くと同時に、子役としての面影を感じた。白鳥玉季である。ふるびたアパートのなかで、繰り広げられるユーモアにあふれながらも不思議な感覚に襲われる佳作である。
動物園の職員の及川光博と、白鳥の中学校の担任である手越祐也はゲイ同士の愛をはぐくみつつある。白鳥の母役の麻生久美子は職場から3000万円を横領して逃走中。父親役の光石研は、家族を捨てて放浪していたが、麻生久美子が横領したカネを狙ってアパートにやってくる。
白鳥は、学校の進路を決める「三者面談」などのために、及川光博と父娘の契約を結ぶ。子役から娘役への脱皮の美しさを白鳥は魅せてくれた。
Netflix配信『御手洗家、炎上する』（23年）で、家を焼かれたうえに母を失った主人公の永野芽衣の子ども時代を演じたのが、白鳥玉季だった。
「人生100年時代」――。子役から娘役、そして大人の女性役まで、さらには映像界では懐かしい過去の女優たちも美しい老いの姿で登場している。日本のコンテンツ作りの強い基盤である。
