2026年1月13日(火)

トランプ2.0

2026年1月13日

 トランプ・ヒストリーとはつまり、彼が以前から持ち合わせてきた経済的資本と”象徴的資本”の両方を融合し、過去のどの大統領も及ばなかった強大な権力を握るに至ったことを指している。そして、その権力によって、自らのブランドをさらに増進させるために政治を利用し、アメリカという大国を意のままに動かそうとしているのだ」

 そして上記の背景説明に従うならば、「ケネディ・センター」のような国立文化施設に自分の名を冠して事実上、所有者としての理事長に居座り、海軍の次世代戦艦を「トランプ級」と命名した建造計画を打ち出し、ホワイトハウスを私物化するという一連の専制的行動も、驚きの対象外ということになる。

止められるのは有権者のみ

 最大の問題は、今後、この特異な統治スタイルによる「United States of Trump」(すなわち自分国家)なる”国造り“にいかにして歯止めがかけられるかにかかっている。

 「United States of America」とは今さら言うまでもなく、世界の多くの国からやってきた移民に支えられた「人民による人民のための人民の国家」だ。「Trump」などという一個人が支配する独裁国家ではない。

 しかしそもそも、第47代大統領としてまるで国王であるかのごとき強大な権限をふるい始めた背景には、今日の米国において、民主主義国家の要諦である「三権分立」が機能不全に陥ったことにある。

 すなわち、有権者が自らのパーソナル・ブランドを国家統治と混同させた候補者をホワイトハウスに送り込み、議会にはトランプ支持派議員の多くを当選させ上下両院を支配させ、「法の番人」である最高裁までも現政権寄りの判事で占められる事態を招いた結果にほかならない。

 従って今後、トランプ大統領の暴走にブレーキをかける唯一の手段は、良識ある多くの有権者を投票所に向かわせる選挙しかない。その点で試されるのが、連邦下院議員全員(435人)が改選される今年11月初めの中間選挙だ。

 トランプ氏にとって、今年の最大政治課題は、この選挙で上院のみならず下院でも勝利できるかどうかにある。なぜなら、1期政権途中の2018年中間選挙の苦い記憶があるからだ。

 当時の選挙では、野党民主党が善戦し、とくに下院ではそれまでの193議席の少数派から40議席も増やし多数支配政党に返り咲いた。そして、全体の3分の1が改選される上院選でも、民主党は過半数には及ばなかったものの、24議席増となり、共和党に勢力的にも肉薄する結果となった。

 このため、トランプ大統領は18年末以降、議会が足かせとなってレイムダック化し、支持率も低迷、20年大統領選での再選を果たせなかった。

 逆に、もともと与党に不利といわれる今回の選挙でも、共和党が上下両院の多数支配を堅持することになった場合、「United States of Trump」という名の“国造り”にいよいよ拍車がかかることになる。まさに26年は、「United States of America」の真価が問われる年となる。

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