基本方針の再確認と注目点
上記した認識の上で、経済政策の基本方針として注目されるのは以下の点である。
第1に、引き続き内需拡大、特に消費拡大を最優先することは変わらない。もっとも政府活動報告であげられた具体策は、短期的な消費喚起策(消費財買替え促進の補助、個人向け消費ローンへの利子補給、休暇日数増加など)が中心であり、国民の所得については「所得増加計画を策定」するといった抽象的な内容である。
第2に、科学技術やイノベーションを通じた「新質生産力」の強化については、15・5計画初年度であることもあり優先度が高い。産業クラスター形成を見込む「新興産業」として「集積回路、航空宇宙、バイオ医薬、低空経済」を重視し、特にAIについては、「重点業種・分野におけるAI応用の商業化・規模化を推進」として、より広範かつ実用化を念頭に置いた表現となっている。今後の成長点となる「未来産業」には、「未来エネルギー、量子技術、具現化AI、ブレイン・マシン・インターフェイス、6G」があげられている。
第3に、科学技術の自立自強の方向性として「産業チェーンの全過程における核心技術の研究開発(中国語は「攻関」、すなわち「チョークポイント攻略」)」を明記している。科学技術イノベーションと産業イノベーションを戦略的に融合していく意図と国家安全への配慮が強く示されたものといえる。
第4に対外経済政策については、「ハイレベルの対外開放をさらに拡大する」との方針が再確認されたが、25年に1.2兆ドル(対前年比0.2兆ドル増加)に達し、欧州諸国を中心にこれを問題視する発言が出ていることから注目された貿易黒字解消への具体策は示されなかった。26年の目標は「国際収支の基本的均衡を維持する」にとどまっている。
2026年度計画のポイント
次に26年度計画をみておきたい(政府活動報告とは項目等が若干異なる)。【表】に25年と26年の主要年度目標を示す。成長率目標以外はほぼ同内容となっている。成長率目標引き下げに伴い慎重な経済運営がなされそうである。
第1にマクロ経済政策では従来の方針が踏襲されている。成長率引き下げについては既に触れたが、全国31省市・地域を個別に見ても21省市・地域で目標が引き下げられている。財政政策は「より積極的な財政政策」、金融政策は「適度な金融緩和」との表現で昨年方針を維持している。

