しかし、意図しない結果の多くは政治・社会・経済の分野で出てくるだろう。それらの問題は、かなり長く続く。
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ネタニヤフに振り回されてはならない
著名な戦略家フリードマンによる含蓄ある論評だ。フリードマンは、如何なる軍事作戦も「意図しない結果」(特に政治・社会・経済の分野)が出てくる、それへの対処が重要事項になり、それは続くと言う。だから、軍事のみならず、時間的にも広範な戦略が不可欠となる。
イスラエルにとっては、それは狭義の軍事作戦で済むかもしれないが、中東で大きな役割を果たさねばならない米国にとってはもっと大きな対イラン戦略が必要になる。イスラエルに併せるだけでは不十分だ。今回、トランプが出口戦略や今後の中東情勢を含む大きな戦略を有していたかどうか、些か心許ない。
イランの不安定化は中東の不安定化になる。フリードマンは、「(イランの)政権が内部崩壊し、指導者達が国外へ逃亡し、革命防衛隊が霧散する可能性もある」と言う。
3月9日、ハメネイの次男モジタバが最高指導者に指名されたので、その可能性はもうないようだ。しかし、今後の体制は以前の体制に比べれば革命防衛隊を軸とするも一層分散的な体制、流動的な体制になるとの見方もある。
イランをイラクのようにしてはならない。米国内部には、クルド勢力をイランに関与させようとの動きがあるようだが、それには慎重であるべきだ。それは、中東を一層複雑化するだけだろう。
米国とクルドの関係は米国による過去の裏切りなどもあり関係や信頼感は雑だ。思い付きのトランプ外交には、このような大きな仕事は手に負えないだろう。今の米政権にこのような奥深い問題を十分理解している者もいないのではないか。
イランによる近隣諸国攻撃は、間違いだったと思う。それは、革命防衛隊の強硬派の考えだったのだろうが、驚いた。それは、湾岸諸国を敵にすることになったし、ホルムズ海峡閉鎖と相俟って国際社会を敵に回すことになったのではないか。
基本的に政権崩壊はやるべきでない。実現可能性や政策の適正のハードルも高い。米情報筋は、政権崩壊は容易でないとの報告を上げていたという。
イランは中東の大国であり、大きな国力や長い歴史を持つ。イランを力の空白にすることはできない。他方、イランのレジームチェンジはネタニヤフの40年に亘る目的だったので、彼はひとり満足しているだろう。
