2026年3月23日(月)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2026年3月23日

自主管理の限界と無報告漁獲

 漁獲枠は、秋田県内の漁業者の自主的な取り決めによるものである。しかし、そうであるが故の限界を有していた。ハタハタの生息域とのずれ、無報告漁獲の存在と履行を確保するための法的裏付けの欠如である。

 秋田に回遊するハタハタは、日本海北部系群と呼ばれ、その名の通り日本海北部が分布域となり、秋田のほか、青森、山形、新潟、富山で漁獲される。下図が県別の漁獲量で、確かに秋田の漁獲割合が非常に大きいが、他県でもそれなりに漁獲されていることがわかる。

 漁獲が秋田にとどまらないのであれば、この資源を利用する他県を含んだ広域的な資源管理が必要なはずである。このため関係4県(青森、秋田、山形、新潟)の漁業者は資源管理のための協定を結んでいるが、その内容は15センチ(㎝)以下の稚魚を採捕せずに放流するというものにとどまる。

 漁獲枠を設定しているのは秋田県の漁業者のみである。これでは、秋田の漁業者の取り組みに対して他県の漁業者が「ただ乗り」する結果となってしまう。

 次に問題だったのが、無報告漁獲の存在である。ハタハタは卵を持つ雌のほうが雄よりも高い。このため、雌のほうは漁協を通じて出荷し、漁獲量として統計に記録されるが、単価の安い雄や産卵を終えた雌、サイズの小さい魚は漁協を通さずに出荷、あるいは浜で直売、あるいは親戚などに無償配布、採算の合わないものは廃棄されるといった状態が散見されていた(中村(2018), p.93)。

 とは言え、漁獲枠はあくまでも自主規制に過ぎない以上、漁協が間に介在しないというだけでは公的に取り締まり、履行を確保することはできない。漁協を通さない取引は「系統外流通」と呼ばれ、漁港で漁船が直接消費者に販売したり、道端で直販する光景は「不名誉ながら当地における冬の風物詩」だったとさえ報じられたこともある(みなと新聞2017年4月14日)。こうした流通慣行が大目に見られていた、ということである。

資源崩壊への警告

 資源減少の兆しは2010年代に現れるようになる。漁獲量は09年以降降傾向を辿り、16年には大台の千トン、翌17年には500トンを割り込んでいる。


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