2026年3月23日(月)

21世紀の安全保障論

2026年3月23日

海自艦派遣の「新法」を制定せよ

 首脳会談の冒頭、記者団とのやり取りでトランプ大統領は「日本が踏み込んで(Step up)対応しても驚かないし、それを期待している。日本の場合、90%以上の原油がホルムズ海峡経由と聞く。それが大きな理由だ」と述べるなど、何度も「Step up」(踏み込む・強化する)という表現を使って米国への支援を促した。自衛隊の艦艇派遣について具体的な要求はなかったとされるが、それは日本が何もしなくていいということではない。

 米国への「怒り」が蔓延しているからこそ、トランプ氏に言われたからやるということではなく、あくまで日本独自の判断として、資源小国の日本を救い、国民生活の安定を目的に、日本に向けたタンカーなど商船のホルムズ海峡通航の安全確保策として、海上自衛隊の護衛艦部隊や掃海部隊を派遣する新法を急ぎ制定しなければならない。

 立法化の審議を巡っては、武器使用について賛否や意見が分かれることが予想される。だが「自衛隊法」95条の武器等防護規定の「事態に応じ、合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる」などをベースに、現憲法の下で任務達成可能な権限をきちんと付与しなければならない。なぜなら民間船舶の防護が必要となる事態は、ホルムズ海峡だけで起きるとは限らないからだ。

ホルムズ海峡だけではない、中国は宮古海峡で機雷敷設演習

 昨年12月末、中国は台湾を武力統一することを目的に、軍事演習「正義使命25」を実施した。防衛省関係者によると、中国は米艦の台湾来援や海自艦の米艦支援を阻止するため、沖縄本島と宮古島間の宮古海峡と、台湾とフィリピン間のバシー海峡の封鎖を目的に、両海峡に大量の機雷を敷設する訓練を実施していたという。

 台湾有事に限らず、南シナ海で緊張が高まれば、中国は周辺海域に機雷を敷設し、マラッカ海峡から日本に向かう民間商船は航行の安全が脅かされる事態となることは確実だ。今回、ホルムズ海峡の安全確保策を考えることは、同時に南シナ海や東シナ海で起きる危機への対応を考えることでもある。

 日本船籍か否かを問わず、危機に際し、日本に向かうタンカーなどの民間船舶を誰が守るのか。自分たちは何もしないで他国に委ねるのか。私たちは今こそ、この根源的な問いに終止符を打たなければならない。

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