2026年3月25日(水)

Wedge REPORT

2026年3月25日

 また、学童保育所は「子どもを預かる」ための施設であるという前提が置かれがちだが、そこにはある認識が欠落しているという。

 「よく、『夏休みの間、小学校の空き教室を学童保育所として機能させるべきだ』という声が挙がります。そこで中心となる議論は『責任の所在』に関する話が多い。確かに、登所ルートや避難経路の確保、共用部分の照明や備品の費用負担割合など、調整が必要な事項が山積していることは事実です。短期間だけ従事する職員をどう確保するのか、ということも現場からすれば大きな問題でしょう。

 しかし、そもそも、『空き教室』は子どもたちが長時間くつろげる『生活の場』としてふさわしい場所なのでしょうか。結局は、子どもを『預かる』という一方向的な認識しか持てていないことがここに表れているように思えます。

 もう一つ見過ごされがちなのは、学童保育所で働く職員は、子どもたちの育成支援や健全な発達を支えるだけではなく、『保護者に対する子育て支援』も担っているということです。いま、子育てに悩む親はとても多いです。かつてのように、同居の祖父母や地域の『上の世代』から子育てのノウハウや心構えを学ぶこともできません。だからこそ、子どもと保護者双方への支援の専門家である『放課後児童支援員』の存在がより重要になります」

足りない「放課後児童支援員」
国が直視すべきこと

 「放課後児童支援員」とは、「子ども・子育て支援新制度」が始まった15年に誕生した資格である。例えば、保育士や社会福祉士、各種教員の資格などの基礎資格を備えた人が指定の研修を受講すれば、都道府県知事からの認定によって取得することができる。

 しかし、同書によれば、研修の理解度を判定する試験は設けられておらず、一度資格を取得してしまえば研修を再受講する義務も定められていないという。

 また、厚生労働省令の制定により、各現場に配置すべき支援員数の基準が設けられることとなったが、あろうことか、20年にはその配置義務が早々に緩和されたという。

 萩原さんはこう語気を強める。

 「最近も、児童クラブの人手不足を解消するためとして、こども家庭庁が『基礎資格の緩和』の方向性を打ち出しました。大学を卒業していれば1年間の実務経験により容易に放課後児童支援員の資格を取得できるようにする、という考え方です。しかしこのことは、資格者が足りないから資格者になれる門戸を広げようという安易な考え方であって、率直に言って、全く意味をなしていません。

 支援員の配置義務が緩和されたのは『放課後児童支援員を確保できないから』に他ならず、なぜ『確保できない』のか、真正面から考えることを国は避けています」

 では、確保できない理由はどこにあるのか。


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