2026年3月25日(水)

Wedge REPORT

2026年3月25日

学童保育側に問われる転換
いかに社会は変わるべきか?

 課題は山積するばかりだが、萩原さんは「学童保育側にも変わらなければならない点がある」と客観的な指摘を加えた。

 「この業界の評価制度の多くは、『年功序列』のままです。もちろん一概には言えませんが、『子どもへの支援は評価になじまない』という考え方も根強く、高い志を持つ若手職員が『あの年配職員は怒鳴っているだけで私の何倍も給料をもらっている』と不満を漏らし、辞めていく姿も何度も見ました。『いい加減な仕事しかしないあの職員に高い給料を出す必要はない』という発想に至る保護者の存在もしかりです。

 また、保護者は『子どもに勉強させてほしい』と思っていても、学力の向上は学童保育の事業目的ではないこともあり、前向きな取り組みがなかなか増えません。当然、人的資源が不足していることも切実な問題ではありますが、学童保育には『利用者目線』の発想が足りていないように感じます。事業を多角化するなど、子どもたちや保護者の『選択の幅』を広げることが、負の連鎖を断ち切る第一歩になるのではないでしょうか」

 最後に、国に求められる具体策やこれからの社会のあり方について聞いてみた。

 「民間事業者が学童保育施設を新設する際の支援を厚くすることや、施設の用途外使用の容認などは今すぐに打てる一手として挙げられるでしょう。

 ただ、いま持つべきなのは、『小1の壁』をなくすのは学童だけでなくて良いという視点です。児童館の新たな整備やファミリー・サポート・センター制度のテコ入れも進めつつ、民間の知恵と行動力をもっと活用しながら、多種多彩な子どもの居場所をつくることこそが、こどもまんなか社会が目指すべき到達点であるはずです。

 何より、繰り返しにはなりますが、この問題は国が正面から向き合えるかどうかにかかっています。現場で働きたいと思える人が増えるような雇用労働条件を整備し、それによって学童保育のサービスに磨きがかかり、良いサービスに対して保護者がお金を払う、という好循環を生む社会へ転換することを切に願いながら、これからも活動を続けます」

 少子化の時代に欠かせない「社会インフラ」に迫る静かな危機を、いかに解決できるか。大切なのは「『子どもの利益』になるように政策を設計する」ことだと萩原さんは言う。実態を直視し、必要な転換を図ることが急務だ。

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