2026年3月26日(木)

World Energy Watch

2026年3月26日

フランスと韓国にとってのUAE

 イランは米国・イスラエルによる攻撃への自衛権を主張しているが、フランスと韓国はいずれも、特に重要なパートナー国であるUAEへの攻撃を容認できない立場にある。

 まずフランスは過去20年にわたり、UAEとの関係を「戦略的」に強化してきた。仏軍基地の設置やトタルエナジーズ社の資源開発に加え、UAEにはフランスのソルボンヌ大学アブダビ校やルーブル美術館別館が開設され、両国の結びつきは多岐の分野にわたる。またフランスは、潤沢な資金力を持つUAEとの友好関係から経済的利益も得ている。

 たとえば、UAEへの仏製武器輸出が際立ち、21年にUAEがラファール戦闘機80機を購入する大型契約(総額166億ユーロ)が締結された。産業分野では25年2月、両国間で人工知能(AI)協力に係る協定が署名され、UAEがフランスでのAIデータセンター設置やAIチップ調達に向け、300億~500億ユーロを投資する予定である。

 フランスは、インド太平洋戦略においてもUAEとの協力を重視している。フランスにとって、インド太平洋にある海外領土の防衛は、主権や住民の安全を守るためだけでなく、エネルギー権益や重要鉱物を守る観点からも重要である。中でもUAEは、フランス本土とインド、オーストラリアの中間に位置し、軍事作戦上の重要な中継拠点となることから、フランスの包括的なインド太平洋戦略を進めるうえで欠かせない協力相手となっている。

 次に韓国・UAE関係も、アブダビでの韓国製原発の建設、韓国軍部隊のアブダビ駐留、UAE向けLNG(液化天然ガス)運搬船の建造、UAEへの武器輸出など、エネルギーや防衛分野を軸に着実に深化してきた。この期間、韓国では保守派・進歩派の両政党から大統領が選出されてきたが、首脳外交を通じた両国の友好関係は一貫して維持されてきた。25年11月に韓国の李在明大統領がUAEを訪問した際、「韓国とUAEの次世紀に向けた新たな飛躍と共同の旅路」と題する共同宣言が採択された。

 韓国にとって、UAEは主要な原油調達先である。韓国は日本と同様、エネルギー源の大半を海外から輸入している。韓国エネルギー経済研究院(KEEI)の統計によれば、25年の国別原油輸入量では、サウジアラビア(総輸入量の33%)に次いで、UAEが第2位(11%)となった。

 韓国がUAEからの原油輸入を推し進めている背景には、韓国・イラン関係の悪化がある。オバマ政権が主導したイランとの核問題に関する包括的共同作業計画(JCPOA)が16年1月に履行した後、当時の朴槿恵大統領は同年5月に韓国大統領として初めてイランを訪問し、イラン産原油の追加輸入などを目的に二国間関係の強化に着手した。その結果、韓国のイラン産原油の輸入量は15~17年に3倍以上も増加し、17年時の割合は総輸入量の13%を記録した(図表1)。

 しかし翌18年、第一次トランプ政権がJCPOAから離脱し、対イラン制裁を発動させたのを受け、北朝鮮問題を抱える韓国としては米韓同盟を重視し、イラン産原油の輸入を控えざるを得なかった。また、米国主導の対イラン制裁の再発動を受け、韓国内にある約70億ドルのイラン資産が凍結されたことは、韓国・イラン関係を大きく悪化させる一因となった。以後、韓国はUAEから原油の追加調達を試みてきた。


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