2026年4月7日(火)

トランプ2.0

2026年4月7日

 これまで84人の男性と3人の女性がその任にあったが、ボンディが最悪かというとまったくそのようなことはない。例えば、ニクソン政権のミッチェル長官に至っては、ウォーターゲート事件における侵入と隠蔽を指揮したとして服役している。

 メディアによってはボンディ長官が最悪な長官だと見る向きもある。その悪い影響が今後長く続くというのである。第二次トランプ政権が発足してこの間、多くの経験豊富で優秀な捜査官が大量に去ったことにより失われた専門知を回復するには長い時間を要するであろうし、また、政権寄りの強引なやり方を続けたことによる国民の信頼の回復はより困難であろうとみられているというのである。

いくつか分かれる米国閣僚のグループ

 今後も閣僚の解任が続くのではという見方も強い。支持率の低下などで追い詰められた政権は、より強硬な政策に走るのではないかとみられている。

 そもそも日本や英国のような議院内閣制とは異なり、米国の閣僚は大統領にしか責任を負わない。閣僚全員が反対しても大統領が賛成すれば、賛成となるのである。リンカーン大統領が閣僚全員に反対された時、「賛成1,反対7,よって可決」と述べたとされる逸話が有名である。

 米国における閣僚は大統領により選ばれるが、その意味合いによっていくつかのグループに分けることができる。第二次トランプ政権では、トランプ個人とMAGAという彼の主張を特に支持する人々の集団が閣僚の筆頭グループとなる。ここにボンディとノームは入るだろう。また、ヘグセス国防長官もここに入れることが出来よう。

 実業や経済などの専門知識や経験を買われて入閣した閣僚のグループには、ベッセント財務長官が、実務能力を買われて入閣したグループにはルビオ国務長官が入ると言えよう。とはいえラトニック長官のようにトランプ派と専門知識といった複数のカテゴリーにまたがった登用もある。

 このような閣僚に見られるグループ分けは大統領によって異なり、例えば、バイデン政権では、多様性を豊かにする目的で任命された「史上初」の閣僚が一群を形成していた。初の先住民閣僚としてのハーランド内務長官、初のアフリカ系国防長官としてのオースティン長官、初のラテン系国土安全保障長官としてのマヨルカス長官らである。

 ともあれ次に職を去る閣僚は誰になるだろうか。現状では、トランプへの忠誠心を買われて閣僚になったグループから次の解任が出る可能性が高いと考えられる。忠誠を誓う点はトランプにとって望ましいものの、能力的に期待に添わないと見られてヘグセス国防長官が解任されるかもしれないし、エプスタインファイル関連でラトニック長官が解任されるかもしれない。

 いずれにせよ今回のボンディ長官の解任は、危機感を強めるトランプが、政権をより攻撃的な布陣にするために行ったとみてよいのではないだろうか。ますますきな臭さが増しているように思える。

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