イラン産原油の輸出量が、世界の石油消費に占める比率は2%弱なので、それほど影響は大きくなく、価格上昇の一部は既に原油価格に反映されているとみている。
悲惨なイランの経済情勢
制裁を受けているイランの経済状態は悲惨だ。2025年末から物価高騰に抗議する活動が、31州の180以上の都市で発生した。政権交代を求める動きに発展した結果、数千人が弾圧により死亡したとされる。
今年2月末、開戦の直前に英BBCが、抗議活動の引き金になった物価と給与の状況について報道している。牛肉の価格は、2カ月間で700万リアル(約5.3ドル)から1900万リアルに、春に1個500万リアルだったハンバーガーは、1200万リアルに値上がりした。1週間の食費は、10年前の120万リアルから3660万リアルに30倍以上上昇している。
インフレの原因は、制裁により通貨の下落が続いていることだ。18年の制裁開始以降、通貨リアルは対米ドルで95%以上下落した。
収入も落ち込み、消費支出も減少している。元上級公務員の給与が紹介されている。15年の月給は5000万リアル、1500ドル相当だった。20年には1億3000万リアルに増えたものの約520ドル相当に減った。今の年金は約3億リアルだが、200ドルにも満たない。
BBCの分析では、20年間で都市部の消費支出は4分の1減り、農村部では半分になっている。生活が困窮するわけだ。
同じく中東の大国サウジアラビアと比較すれば、イラン経済の低迷ははっきり分かる(表-1)。予測の26年の数値は戦争によりさらに悪化する。
この状況と大衆の不満を受け、トランプ大統領はイランで体制転換が起きると踏んでイスラエルと共に攻撃を開始したのだろう。
しかし、イランでは反体制派は都市部の住民とされる。その都市部への空爆を続ければ、反体制派を反米に追いやることになる。期待した体制転換は起きなかった。
兵糧攻めにイランは耐えられるか
イランの原油生産(天然ガス液を含む)は、一日当たり約400万バレルとされる(図-2)。約半分を国内消費に回し、輸出量は一日当たり200万バレルだ。
イランの主輸出港カーグ島からの出荷は、ホルムズ海峡を通過する必要がある。図-3の通り、25年第1四半期には一日当たり150万バレルが運ばれていた。
制裁対象のイラン原油を購入していたのは主として中国だ。カーグ島から石油の輸出ができなくなるとイランはどうなるのだろうか。



