2026年5月20日(水)

日本主導で平和の再構築を

2026年5月20日

 実際、自衛官や外交を生業とする人々は、「あくまでも自分たちは『裏方』であり、多くの日本人が安心していられることが望ましい状態である」という思いで、日々の仕事に従事しているのではないか。

 平和が保たれるためには、裏方が裏方に徹していられる社会こそ望ましい。しかし現代は、その裏方に対しても発言や発信を強要する社会になっている。ロシア・ウクライナ戦争以降、日々「専門家」と称する人々が地政学リスクなどについて語り続ける社会になった。さらに、第2次トランプ政権誕生以降は、それ自体が一種の「ショー」となり、分断と対立が米国のみならず世界を覆うようになった。

 安全保障の問題に限らない。私たちは今、つねに「お前はどちら側につくのか」と問われ続け、態度を表明しなければ「逃げている!」「悪を許すのか!」と糾弾される社会に生きている。しかし、もし、中立や留保が許されないのだとすれば、それこそ「戦争に参加しろ」という同調圧力に抵抗できないことになるだろう。

SNSの悪影響……
世界中が〝トランプ化〟

 なぜ、こんな状況になっているのか。今触れたように、SNSの出現によって「今、この場で立場を決めろ」という正義への切迫感に満ちた社会になってしまったことが大きい。SNSはもともと「挨拶のメディア」であったが、今や「議論のメディア」に変容した。

 本来、議論は時間がかかるものであり、リアルタイムで決着がつくものではない。しかし、トランプ氏をはじめ、世界のリーダーたちはSNSを多用し、国民に直接語りかけ、自らの立場を旗幟鮮明に打ち出すようになっている。そして大衆もそれに喝采を送っている。まさに世界中が〝トランプ化〟している。

 この状況に巻き込まれないためにも、「社会は政治よりも大きい」ということを確認する必要がある。これは素朴な生活実感からもわかるはずだ。対立する政党の支持者は政治的には相容れないかもしれないが、実際には社会生活を営むうえでは共存している。

 例えば、コンビニで買い物をする時、レジの人の支持政党を聞くようなことはしない。私たちは様々な場面で政治を棚上げしており、それによって世の中は成立している。

 にもかかわらず、今はなぜか政治が社会の最終審級だと考えられている。そして皆が政治について語りすぎるようになっている。その行き着く先は、政治的な思想・信条が近しい人たちだけでやっていこうという思想である。それは国際政治においては「ブロック経済」として実現する。それはまさに第二次大戦前の状態である。日本はまだその手前にある。しかし、左右関係なく、自分と同じ政治信条を持っていなければ安心して付き合えないと人々が思う社会は非常に危険だ。


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