2026年5月29日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月29日

 米国とその同盟国の防衛については、「攻撃しても目標を達成できない」と思わせて攻撃を思いとどまらせる「拒否的抑止」に注力すべきだ。これは高密度ミサイル防衛網の構築、核兵器搭載可能な米軍戦闘機や潜水艦の朝鮮半島への定期的なローテーション配備、そして北朝鮮の攻撃に対する精密かつ高度な通常兵器による報復攻撃の脅しといった戦略だ。

 同時に、米日韓同盟の抑止力と防衛力を強化しつつ、過度に攻撃的な姿勢を抑え、北朝鮮に「核を使わなければ敗北する」という追い詰められた認識を与えないことが重要だ。

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「非核化」から「核の管理」への課題

 北朝鮮の核保有については、ロシアはすでに公にこれを認め、中国も公式にはもはや「朝鮮半島の非核化」に言及しなくなり、さらに韓国も李在明政権は「三段階の非核化」に言及して、「非核化」を少なくとも当面の目標から外した。そのような中で、米国はなお公式には「非核化」方針を維持しているが、本年1月発表の国防戦略では「非核化」への言及がなくなり、さらに北朝鮮抑止の主たる責任は韓国にあり、米国の支援は「重要」だが「より限られたもの」であるとしている。

 2024年春頃からホワイトハウスや国務省高官は「完全な非核化」へのコミットメントを確認しながらも、「非核化」に向かうまでの「中間段階」に言及するようになり、また、トランプ大統領は就任直後から複数回に亘って北朝鮮を「核保有国」と称し、金正恩との会談にも意欲を示している。

 以上のことは、いまや米国において、政官学のいずれにおいても、対北朝鮮政策の重点を「非核化」から「核の管理」へと移すべきとの主張が優勢になりつつあることを示している。

 トランプ政権が北朝鮮の核保有を認めた上で、これを管理するための交渉に入る可能性があるということ、他方その場合には、わが国は以下のような深刻な問題を抱えることになり得ることに十分留意する必要がある。

 第一に、米国の国益が優先され、交渉目標がわが国の国益と相容れなくなる可能性。日本(および韓国)にとって最悪のパターンは、トランプ政権が米国に到達するICBMの制限のみを目標として、制裁緩和とディールすることだ。北朝鮮経済にとってプラスになる一方で、日韓に到達する短・中距離ミサイルは影響を受けないことになる。


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