2026年5月29日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年5月29日

 第二に、根本的な問題として、核軍備管理交渉とは、とりもなおさず核保有を認めることであり、非核化を「長期目標」として維持するというのは言葉の遊びに過ぎない。たとえNPT上の「核保有国」として認めるのでなくとも、北朝鮮の核は「許されない核」から「国際的に認められた核」に変貌することになる。核軍備管理交渉に入ることによって、逆に、北朝鮮が今後は「核保有国」として核戦力を徐々に強化していく可能性もある。

 第三に、北朝鮮の核が「認められた核」になることは、露朝両国による核開発協力の敷居を大きく下げることにもなるだろう。さらに制裁の緩和が加われば、北朝鮮の経済力の維持・強化、ひいては核戦力の強化につながるだろう。

日本も拡大抑止への協議を

 もともとトランプ政権にとって、北朝鮮問題は優先順位が低い。加えて、ベネズエラやイランなどと違って、北朝鮮と交渉しても天然資源その他の経済的利益を得られる可能性は小さい。

 さらに、「核保有の阻止」をイラン戦争の最重要目標の一つとして掲げながら、北朝鮮との関係では「核保有」を前提とした交渉を行うというのは、さすがに説明が難しいだろう。ただ米国内で、北朝鮮について「非核化」から「核の管理」がひとつの大きな流れになりつつあることには十分留意する必要があると思われる。

 この問題への対処は容易ではないが、わが国にとって拡大抑止の信頼性を高めることがこれまで以上に重要になることは間違いない。すでにそのような問題意識で行われていると思われるが、日米拡大抑止協議(EDD)、拡大抑止に関する日米閣僚会議などにおける米側との緊密な協議が極めて重要になる。

 政治的意思の表明として、非核三原則の「持ち込ませず」を撤廃する、あるいは少なくとも再検討すべきとの政治的意思を明らかにすることは、米国の拡大抑止の信頼性向上に大きく資するだろう。

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