2026年7月13日(月)

WEDGE REPORT

2026年7月13日

さらに気になる2つの動き

 もう1つ、言論について時代の変化を意識せざるを得ない出来事があった。香港の中国本土返還日の翌日である7月2日、香港で「禁書」を扱っていた「銅鑼湾書店」の店長の林栄基氏が70歳で亡くなった。林氏は、中国・香港当局からの弾圧を受けていたが、19年の大規模デモ発生の要因となった「逃亡犯条例」に関連して、身柄が中国に引き渡されるのを逃れるため、同年4月に台湾に移住。台湾で銅鑼湾書店の運営を続けていた。

香港にあった時の銅鑼湾書店(筆者撮影)

 また、7月2日は、中国が制定した、全国各民族の団結を守ることを公民の義務と位置付ける法律である「民族団結進歩促進法」施行日の翌日でもあった。

 香港ではもうさらに気になる動きがある。国安法以外での一般の刑事事件について、容疑者が逮捕や起訴された時、行政長官が「国家安全保障に対する犯罪」と指定する「証明書」を発行する権限を与える法律を整備した。証明書について裁判官は異議を唱えることができないもので、6月9日の官報に掲載され、同日から施行されている。

 極論を言えば、ごく一般的な刑事事件であっても行政長官が容疑者を個人的に気に入らなければ、意図的に「国安法」の案件に切り替えることができる。もはや、為政者の良心に期待するしかない法律が存在していることになる。政府は「慎重に判断する」と述べているが、香港市民はかなり懸念している。

規制の先にあるもの

 京都が唯一無二な街なのは、京都らしさを徹底したからだ。香港を香港たらしめたのは西洋と東洋が交わる都市で、レッセフェール(自由放任主義)を標ぼうしてきたからである。

 今後、年を追うごとに中国化し、香港らしさが失われていけば、国際都市から中国の1都市に埋没する確率が高まる。「軟對抗」も抑え込もうとする言論の自由の統制は、間違いなく、その要因となる。

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