日本国内でできることは?
漁業を成長産業にしている国々にとっては当たり前である数量管理が、ようやくクロマグロで機能して資源が回復傾向になってきています。昨年ではスルメイカで漁獲枠がタイトになりましたが、枠が満了すれば漁期が終わるのは当たり前です。またクロマグロは漁獲時期によって浜値が変動するので、価格が高い秋~冬にかけて枠を残して獲った方が良いのも当たり前です。
この当たり前は、資源管理に効果がない緩い枠ではなく、資源の持続性のためにサバ、アジ、スケトウダラ他すべての商業魚種に当てはめるべきなのです。
さて、クロマグロの増枠が国際合意できなかったことでとん挫をしているものの、日本国内でできることについて、本質的な話をしましょう。
写真のクロマグロは産卵期の7月に巻き網で漁獲されたマグロです。一方で右側は沿岸漁業による良質のクロマグロ(一本釣り・延縄・定置)です。産卵期には、栄養が卵と白子にいくので脂はのっていません。これはマグロに限らず、サバやサケなどでも同じです。
巻き網物は、網の中で暴れながら水揚げされ、物理的に血抜きの処理ができないので、血が染み出てきてしまいます。一方で、沿岸漁業では定置網も含め一尾ずつ丁寧に血抜きすることが可能です。
脂ののりについては、水揚げ時期が大きく関連します。このため、沿岸漁業でできるのは、夏場では処理を良くして付加価値を上げることです。地中海のクロマグロでは、6~7月頃の産卵期に巻き網で漁獲し、それを活きたまま生け簀に運んでエサをやって、脂がのる時期(秋~)に水揚げする畜養という形式をとって、日本にも輸出しています。日本でも、巻き網船の一部がすでにはじめていますが、地中海と異なり、養殖場も限られることから規模は大きくありません。
漁獲枠の配分と利用法から考える
下の表は、30キロ以上のクロマグロに関しての漁業ごとの枠配分です。大きく分けて大型船(大臣枠)6割に対して沿岸漁業(都道府県分)が4割です。枠の配分が大きい大中型巻き網漁船の枠を、沿岸漁業者に漁獲枠代を支払って使わせる制度にすれば、現在定置網などの沿岸漁業者に起きている逃がす作業を軽減できると私案ながら考えます。
26年5月20日から7月21日にかけて境港で水揚げされたクロマグロは941トンで浜値はキロ1779円でした。仮に来年、定置網漁業者がクロマグロを放流せず、水揚げして適正な処理をして付加価値を上げる。そうすれば販売価格は、巻き網物より高く売れるので、そこに枠代として支払う余地が生まれます。

