被災者のための「こころのケア」報道
「こころのケア」報道とは、被災者の悲劇を一種の感動ポルノとして演出することではないはずである。事実を伝えるためには、専門家チームの実際の活動を理解して、支援の現状を実態に即して捉えなければならない。
災害時の「こころのケア」には、被災地全体を高所から見渡し、ニーズと資源の偏りを捉える「鳥の目」と、地域を歩き、一人ひとりの暮らしをたどる「蟻の目」の双方が必要となる。それらの活動は、本質的には地域の専門家が本来の業務を再開するための準備を整えるに過ぎない。主役は震災前から地域医療を支えていた地元のプロフェッショナルたちであり、震災後に派遣される専門家は、あくまでバックヤードで調整役を務めるにとどまる。
もし、報道側からみて「鳥の目」にニュースバリューがないと思えれば、「蟻の目」たる災害ケースマネジメントを題材にしてはどうか。そこには、個別の被災者の復活と再生のドラマがある。他の被災者にとっても示唆を与えるような、有益な番組が制作できるはずである。
