「緑の多さ」ではなく「雨を受け止める力」
都市内部についても同じだ。単に「緑を増やす」だけではなく、街のどこで雨を受け止めるのが効果的なのかを考える必要がある。
同じ緑地でも、土壌や地形、地下水位などによって雨の染み込みやすさは異なる。一方、本来は雨が浸透しやすい土地がアスファルトやコンクリートで覆われている場合もある。
そこで、地形や地質、地下水位などを踏まえ、雨を浸透させるのに適した場所を見極める。そうした場所に雨庭や緑地、透水性舗装などを配置し、雨水タンクなどによる一時貯留も組み合わせる。
一つひとつの効果は小さくても、街中に分散させれば、雨水が下水道や河川へ一気に集中するのを抑えることにつながる。これからは「緑被率」だけではなく、「この街は雨をどこで、どれだけ受け止められるのか」という尺度で都市を見ることも必要になる。
「強くなる雨」「老いていくインフラ」
こうした分散型の対策が重要になる背景には、もう一つ、日本の都市が抱える現実がある。既存インフラの老朽化だ。
国土交通省によると、全国約50万キロの下水道管路のうち、標準耐用年数50年を超えた管路は約4万キロで、全体の約7%。10年後には約22%、20年後には約45%まで増える見込みだ。標準耐用年数を超えればただちに使えなくなるわけではないが、点検、修繕、更新の必要性は高まる。
自治体は、既存の下水道を維持・更新しながら、豪雨への対応力も高めなければならない。人口減少や技術人材の不足など、維持管理をめぐる制約が強まる地域もある。
新しい巨大施設を造れば、それも将来にわたって維持・更新していく必要がある。だからこそ限られた資源をどこに投入して排水能力を高めるのか、それ以外の場所でどのように雨を受け止めるのかを、都市全体で考える必要がある。
