2026年11月5日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2026年10月16日

 フーシ派がサウジアラビアとの4年間の休戦を破った後、トランプ政権は、オマーンの仲介で同派と協議している。フーシ派の当局者はAP通信に対し、同派が標的にしているのはサウジアラビアの船舶だけであり、米国やその他の国の船舶は攻撃しないと述べた。トランプ氏も、フーシ派は米国の標的を攻撃しないことに同意したと強調した。

 しかし、ユーラシア・グループの中東・北アフリカ担当マネージングディレクター、フィラス・マクサド氏は、米国が湾岸の主要な安全保障パートナーとしての歴史的役割から後退するにつれ、「緊張は避けられない」と述べた。「米国が後に残す空間は、戦略的競争相手に機会を生み出すだろう」と同氏は述べた。

 「サウジアラビアは、イランとの不安定な関係調整を試みる一方、安全保障上のパートナーを多様化してきた。米国との関係における緊張は、その過程を加速させる可能性がある」

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米国との安全保障関係は必要

 フーシ派の攻勢で紅海の出口が扼される一方でイラクからの攻撃で東西パイプラインが破壊されたことでホルムズ海峡を迂回する石油輸出ルートが脅かされ、これはサウジアラビア一国の問題にとどまらず、国際石油情勢に対しても深刻な影響を生じさせている。上記の解説記事は、サウジアラビア側がフーシ派を空爆するように求めたがトランプ大統領が拒否した件について解説したものだ。

 そもそもペルシャ湾岸のアラブ産油国は、イランからの脅威を抑止するために米国と安全保障関係を結び、米軍を駐留させてきた。しかし、イラン戦争が始まると米軍の存在はかえってイランからの攻撃を招き、かつ、米軍は自軍の防衛に手一杯でアラブ産油国のインフラ防御にまで手が回らない状況で、サウジアラビアをはじめとするアラブ産油国側の不満は大きいだろう。

 既にサウジアラビアはトルコ、パキスタンと「メッカ共同防衛協定」を結んで米国一極の安全保障関係の多角化を目指しているが、イラン戦争が終わってもアラブ産油国は、米国一辺倒には戻らず、安全保障の多極化を目指すのは間違いない。


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