しかし、米国との安全保障関係自体は引き続き維持されるであろう。なぜならば、武器輸出やサウジアラビアなどのカタール・ボイコット(2017年~21年)が顕著な例だが、アラブ産油国はお互いに仲が悪く、内輪もめを解決できるのは米国しかいないからだ。
イランがアラブ産油国を攻撃する2つの理由
イランがアラブ産油国のインフラを攻撃するのは2つの理由があると思われる。一つは、「自分だけ損するのは許せない」(=他の国は原油を輸出できるのにイランだけが輸出できないのは我慢ならない)というイラン人の感覚である。もう一つは、イランは、この機会にアラブ産油国に対して米国を選ぶか、イランを選ぶかの踏み絵をふませようとしていると考えている。
イランはこの機会にアラブ産油国への影響力を強めようとしているのだろう。そんなことをしたら、アラブ産油国との関係が悪くなるから、「そこまで無茶はしないだろう」と言う識者も多いが、イランの考えは、ローマの暴君カリギュラの好んだ、「憎まれても構わない。恐れられてさえいればよい」ということだろう。
サウジアラビアは、東西パイプラインの暫定運用とシャトル・タンカーを用いてペルシャ湾外で石油を引き渡すことで石油輸出を回復させようとしているが、パイプラインへの再度の攻撃、ホルムズ海峡を航行するシャトル・タンカーへの攻撃等で簡単に停止する危うさがある。
ニューヨークでは米国とイランの双方が交渉再開の条件を提示し合っているが、双方の立場がかけ離れているだけでなく米国がイランの空路を封鎖しようとしているのに対してイランが強く反発しているので早晩、衝突が再開する可能性が高い。

