2024年3月3日(日)

科学で斬るスポーツ

2015年5月22日

リアルタイムの分析も重要

 試合途中のリアルタイムのパフォーマンス分析も、戦略・戦術を立てる上で極めて重要だ。今後、このリアルタイムのデータ提供に威力を発揮できそうなのが「Sports Code」という映像解析ソフトだ。

 例えば、映像から、選手のサービス、打法、コースなど分析項目を入力し、統計的データから特徴をつかんでいくことが可能である。サービスからの得失点、レシーブからの得失点などが映像とともにフィードバックすることができる。 

 今年の世界選手権も情報戦が激しく繰り広げられた。それだけ、試合を撮影・分析する「スポーツアナリスト」の池袋さんらの手腕、判断がものをいう。そして監督・コーチとの信頼感、それを選手に伝え、選手が経験と主観をもとに試合を運んでいく。情報戦を制するには、こうした総合的な連携が欠かせない。ただ、現時点でデータ分析による戦術への反映は途上である。

サービスと3打目で決めろ!

 サポートチームの池袋さんがロンドン五輪、世界選手権の男子シングルスベスト16以降の試合を分析したところ、興味深いデータがでている。

 「あるゲームにおけるサービスからの3打(球)目の得点率【計算法は(サービスエース数+3打目での得点数)÷サービス数】が30%以上、あるいは相手より上回った場合、そのゲームは勝つ」というものだ。

 つまりサービスの際、サービスと3打目が極めて重要であることを意味する。トップ選手のサービスは多彩で、コースや回転、トスの高さ、打球動作などを変化させることで、細かく見ると30種類近くにもなる。

 一方、レシーブ側は相手の3打目で決められないように工夫が必要だ。大事なのは、サービスを返す2打目。その武器の一つが、最近注目されるチキータだ。チキータ・バナナが由来の横回転のレシーブで、ボールの軌跡がバナナのように曲がっていく。チェコのピーター・コルベル選手が開発し、日本の丹羽もよく使っている。2打目で難しい球を返し、3打目の甘い球を狙って4打目で決めるというのが、レシーブ側が有利な展開に持ち込むパターンだ。 

 卓球の見所のひとつにラリーがある。トップ選手の試合ではどのくらい続くのだろうか。

 吉田教授は2012年に行われた、ロンドンオリンピックについて、1本のラリーがどのくらい続くのか、分析した。ラリーが続いた回数は、サービスが相手コートに入ると1回、レシーブが入ると2回…とした。つまり、1本のラリーにおけるサービスやリターンの合計数で、ラケットにボールを当てたものの、相手コートに入らなかった場合は含まれない。

 結果は、男子の平均値は4.4回、女子が5.6回。ラリーが続かず、この回数が0回の場合、つまりサービスミスは男女ともに約1%あった。1回で終わるのは男子が11.5%、女子が9.7%、2回で終わるのは男子が16.5%、女子が13.6%であった。そして、男子では4打目、女子では5打目を行う機会が全ラリーの50%を切っていた。

 「これらのデータは、改めて世界トップレベルにおいてもサービスとレシーブが最も重要であることを示している」と吉田教授は語る。


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