憲法を教条的に守ろうとする考え方に妥協する形で、国連PKO活動に参加するも現場で必要不可欠な武器使用を否定し(次頁以降の勝股秀通氏の論稿参照)、日本や韓国を防衛する米鑑の後方支援もやらない、としてきた日本の姿は、憲法前文に謳われた「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という精神を否定するものではなかったか。
「違憲」「米軍に巻き込まれる」「海外派兵」「戦争への道」という指摘は、実は戦後70年間繰り返されてきた台詞である。自衛隊をつくり、日米安保もPKOも肯定した日本が今どうなっているかをもっと直視したい。
戦後ずっと変わらない野党の主張
【1954年 自衛隊法案】
「自衛隊は陸海空の機構をもったまさに軍隊。米軍や国連と共同防衛の名のもとに海外派兵を受諾せざるを得ず、露骨な憲法違反」
「自らを守るのではなくして、アメリカを守るための砦となり犠牲となる」
――社会党・下川儀太郎(衆議院)
「緊急不正の攻撃がありやむを得ざる場合に外国領域にまで戦闘行為を及ぼすこと、国連軍または米軍の指揮下に後方勤務に服すことは実質的な海外派兵で違憲。政府は憲法の本質を無視し蹂躪」
――社会党・穂積七郎(衆議院)
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【1960年 日米安保条約改定】
「日本はいま戦争への道を進むか、平和共存への道を選ぶのかの分岐点にある」
――社会党委員長・鈴木茂三郎(衆議院)
「米軍が武力攻撃と認定してただちに出動すれば、たとえ日本が武力攻撃と認定しなくても、すでに交戦状態に入っているという場面が予想される。逆に日本が認定して、米側が認定しない場合は米軍はかってに撤退してしまう。日本は逆に危険にさらされる」
――社会党・松本七郎(衆議院)
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【1991年 国連平和維持活動(PKO)協力法案】
「戦後の重大な国策変更である自衛隊の海外派遣を、憲法解釈を政治的圧力によってねじまげた形でやるのは納得できない」
「実態的には共同対処となる。外国軍人のために武器を使うなら、集団的自衛権の行使だ」
――社会党・上原康助(衆議院)
「国連の活動でも、海外での軍事活動に自衛隊が参加することは憲法では許されない。自衛隊の海外派兵法案は、日米軍事同盟の体制を地球規模に拡大する危険な一歩だ」
――共産党委員長・不破哲三(衆議院)
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◆Wedge2015年8月号より