2024年12月23日(月)

人事は企業を変えられる

2016年9月2日

 創業当初は経営者の専権事項であった仕事が、会社の成長につれ、人事、総務、広報、法務など、職能ごとにどんどん細分化されていく。当初は経営者の意思に直結して機能していた組織も、企業の発展に伴い、日々のオペレーションに忙殺されるようになる。特に人事は、給与の処理や賞罰等、管理的かつ短期的な仕事にばかり気を取られるようになってしまう。

 日本の人事の多くは、労務的要素の強い従来型の人事から脱却しようと、チャレンジを続けている。大量生産により成長を遂げてきた時代は、社員のベクトルを束ねて集団としての生産性を高めることが経営課題だった。人事も労働組合の協力を取りつけるために折衝を重ね、労務に重点を置いてきた。

 しかし時代は変わり、人事は新たな付加価値を生むために個人に向き合い、人材開発に力をいれようとしている。日本の生産年齢人口が減少するなかで、有能な人材の数は限られている。人材を発掘し、計画的に育て、付加価値を生み出せる、経営の根幹を左右する人材をどう作るかが、人事の最大にして喫緊の課題だ。

 経営の根幹を左右する人材を作るには、出向や事業再生の場を活用することをおすすめする。誰もが成功するのが難しいと感じる〝辺境の地〟に送りこみ、誰にも頼れない環境で、社員が自らの知恵と工夫、勇気をもってどう働くかを見ることで、その人の器を見極められる。

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