2024年12月22日(日)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年11月6日

[フランス中西部Le Puyからスペインの聖地Santiagoを経てMuxiaまで]
(2015.4.22-7.16 86days 総費用37万円〈航空券含む〉)

“ボン・シュマン”から“ブエン・カミノ”まで

 7月3日、聖地サンチアゴより12キロほど手前にあるSan Marcosの教会系の巡礼施設に宿泊。かなり古びた不便な共同キッチンで村の雑貨屋で買ってきたタコ、ホタテ貝の小さな缶詰を使ってシーフード・スパゲッティを作り、同じく買ってきたポテトサラダを庭の隅のテーブルに並べた。大半の巡礼者は無理してもサンチアゴの街の宿泊施設まで歩き続けるのでSan Marcosの巡礼施設は閑散としている。遠くに夕陽に霞んでいるサンチアゴ市街のシルエットを眺めながら一人赤ワインで乾杯してサンチアゴ巡礼成就の前祝をした。

パラドール(歴史的建造物を改装したホテル)になっている旧王宮

 4月下旬にフランス西部のLePuyを出発したときは氷雨交じりの空模様であったことを懐かしく思い出した。すでに1500キロ弱踏破した計算である。ピレネー山脈を越えるまでのフランス国内の巡礼道では巡礼者同士の別れの挨拶は「道中ご無事で」という意味のフランス語の“ボン・シュマン”(Bon Cheman)であった。それがピレネー山脈を下りスペイン国内に入ると同じ意味のスペイン語の“ブエン・カミノ”(Buen Camino)に変わった。この言葉を幾度となく巡礼者同士で交わしたが、この言葉は巡礼者同士の連帯感の象徴である。

 巡礼のような修行を続けると何か啓示を得たり人生観が変わったりすると言われているが、残念ながら私の場合は特筆するようなことはなかった。キリスト教徒はしばしば“悔い改める”というが、私のような凡人には過去の人生において後悔することは山ほどあるが、残念ながら数か月難行苦行の巡礼をしたくらいでは“生来の怠惰な行いは改まらない”ということが分かったということが唯一の収穫と思われた。

 ただし、素晴らしい大自然と歴史文化に彩られた巡礼道を自力で歩いたという鮮明な記憶は永遠に色褪せない人生の宝物になることは間違いない。

聖都サンチアゴ

巡礼途上で親しくなったスペイン人一家と大聖堂前広場で再会と巡礼成就を祝して記念撮影

 7月4日、奇しくも当日は米国独立記念日でもある。聖都サンチアゴ・デ・コンポステーラに向かって歩いてゆくと次第に大聖堂を中心に高台に聳える街並みが大きくなってくる。中心に近づくに連れて巡礼者の群れがどんどん増えてくる。

 11時ころ大聖堂前広場に到着。大勢の巡礼者や一般観光客が写真撮影をしている。巡礼を成就したという歓喜が広場に充満しているようだ。何人か顔見知りに出会いハグしては聖地到着の記念写真を撮る。


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