さらに、みなさんに気づいていただきたいことがあります。
パンダを描く前のことです。みなさんには夢のような目標について考え、イメージをつくっていただきました。頭の中を、夢のようなイメージでいっぱいにしていただきました。次に、もともと頭の中にいるはずのパンダの絵を描いていただきました。パンダはどのようになりましたか?
そうです。もうお気づきの方もいらっしゃると思います。どんなに素晴らしい夢のような目標を頭の中で描いていたとしても、今のままだと手元のパンダのようになってしまう可能性があるということです。先ほどパンダの絵に自己採点をしていただきましたが、その点数こそ夢のような目標を成し遂げた時の点数になる可能性が高いと考えられるのです。
パンダと同じように、夢のような目標にも「イメージと現実のギャップ」が生まれます。
目標を具体的に紙に書き出してみる
でも安心してください!
「イメージと現実のギャップ」は埋められます!
パンダの絵をうまく書けるようになりたければ、毎日練習をし、常にパンダを確認・意識できる環境をつくればよいのです。1か月も書き続ければ、正確なパンダの絵を誰でも書けるようになるはずです。
イメージと現実のギャップを埋めることが上手だったトップアアスリートたちがどんな工夫をしていたのかをプログラムしたものが、次の目標設定用紙です。
この目標設定シートをルール通りに1度書き上げてみてください。やはり先ほどのパンダを描いた時と同じ現象が起きるはずです。イメージはあるけれど、書くのは難しい……。
しかし、その後じっくりと時間をかけて、細かいプランを書き入れていけば、徐々にイメージと現実のギャップが埋まっていくことの面白さに気づくはずです。
さらに、「こうすればできそうだ!」「こうやればいけそうだ!」という小さなわくわくした感覚や、断片的なイメージが結びついて具体的な目標を発見することができるはずです。実は、この「いけそうだ!」「できそうだ!」という感覚こそがやる気です!
そう、内発的なやる気なのです。
前回お伝えした「自己決定理論」で内発的なやる気を高めるカギとなるのは、自己決定、自己選択だといいましたが、自分の中で見出したプランや工夫の質を客観的に確認することで自己決定・選択する力は高まります。この目標設定シートは、自己決定力を高めるのに非常に役立つものです。「いけそうだ」という感覚は、はじめは小さなものかもしれません。しかし、書いているうちに、徐々に大きくなっていきます。
私がコーチングしているトップアスリートは、このシートを週に1回は書いています。たった1週間で書き直すことなどないだろうと、多くの方は思うかもしれません。しかし、書き直していると表現がどんどん具体的になっていきます。そして、今なすべきことを意識できるようになっていきます。もちろん、それにつれて成績もよくなっていきます。