――他にも、銀座線内で2~3歳の男の子に、ペットボトルに小便をさせていたのを目撃し、びっくりしたこともあります。
中島:以前、私も中国国内でそういったシーンを見かけたことがありましたが、最近は少しずつ減ってきましたし、中国人でもそういう親子を見て激怒したり、注意する人も出てきています。
日本では、駅でもコンビニでも、街の至る所にトイレがありますが、中国の公共の場にはまだトイレが少なく、致し方なく子どもにそうさせていた面と、公共のマナーを知らないという面があるからだと思います。
そうしたことを憂い、中国政府は中国人の出国ブームが起きた2~3年ほど前、空港で「文明的な行動を取りましょう」と書かれたマナーに関するパンフレットを配っていました。その中には「列にきちんと並びましょう」などの話がイラスト付きで具体的に書かれていました。そうしたパンフレットの効果や海外旅行の経験も増え、中国人のマナーはよくなってきていますが、団体旅行者のなかには、まだ出来ていない人もいます。この2~3年で世界のマナーを急激に学んだので、まだ全体に浸透するには時間がかかりますし、今は過渡期なのだと思います。
――中国人は、まわりの様子をうかがうというよりも、自らの感覚が優先されるのでしょうか?
中島:そうですね。悪気はないのですが、周囲の人々に常に気を使って生きている日本人とは違い、客観的になることはあまりなく、主観で生きてきた人が多かったと思います。
――マナー違反をしている中国人の姿がメディアで取り上げられると、日本人の多くにステレオタイプな中国人のイメージが定着しますね。
中島:たまに、そうしたステレオタイプな中国人が現れると、マイナスのイメージが強化されますよね。逆に、良い行動を取っている中国人がいても、それは日本のメディアではなかなか取り上げられないという傾向があると思います。
――ただ、日本人もバブル期から数年、海外旅行先で散々バッシングを受けた過去がありますね。
中島:そうですね。日本人も30年前は海外でブランドのバッグを買い漁り、「イエローモンキー」といわれた時代がありました。中国はキャッシュレス化など、日本を飛び越えて成熟している面がありますが、まだ多くの点では日本がかつて歩んできた道を歩んでいます。昨今の中国では環境問題が深刻ですが、日本でも昔は水俣病を始め、一時同じように環境問題が深刻でした。また、日本と同じく中国も人口減少と少子高齢化の問題を抱えています。