インド経済を読む

2019年11月15日

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野瀬大樹 (のせ・ひろき)

公認会計士・税理士

大手監査法人にて、株式公開支援業務・法定監査業務・内部統制構築業務などに関わったのちに独立し、野瀬公認会計士事務所を設立。インドのニューデリーに、日本企業のインド進出を支援するNAC Nose India Pvt. Ltd.を設立し、代表に就任。日本インドの双方より、日系企業へのコンサルティング業務を行っている。近著に『お金儲けは「インド式」に学べ!』(ビジネス社)がある。

[著書]

ニューデリーの大気汚染の「原因」

 この「世界最悪」のニューデリーの大気汚染は主に以下のようなものが原因とされている。

  1. 車の排気ガス=中国同様急速なモータリゼーションが進むインドでは、爆発的に自動車及び二輪の数が増えており、その排気ガスの量も並行して増え続けている。日本のようなディーゼル車の規制もなく、またCNGガス車も政府は推奨するもののスタンドの少なさからまだまだ普及しないのが現状だ。
  2. 火力発電所=インドはその慢性的に不足する電力の多くを火力発電でまかなっており、石炭による発電が約6割と非常に大きな比率となっている。当然石炭を燃やすと大量の排ガスを出すのでこれも大気汚染の原因とされている。モディ政権が日本から積極的に原子力発電所及びその技術を持ち込もうとしているのには、この「火力発電依存からの脱却」=大気汚染対策…という意図があるのだ。
  3. 建築現場の粉塵=新興成長市場たるインドでは、インフラ建設が盛んであり当然各主要都市には膨大な建築現場が存在する。また古い建物の壊しての再開発も行われており、それらから大量の粉塵が飛び散り、これも大気汚染の主な原因とされている。
  4. ディワリの花火=年に1度のインド最大のお祭り「ディワリ」では、町中の人が皆爆竹や花火を使って盛大にお祝いをするので、その噴煙が町を覆うことになる。私は今年もディワリの時期はニューデリーにいたのだが例年同様、この派手なお祝いが始まると家の中にいても会話ができないくらいの花火の音に町は包まれる。10億人近いヒンドゥー教徒が皆一斉に同じことをするのだからその煙の量は膨大なものとなる。
  5. 農家による野焼き=インドの農家は毎年11月くらいから収穫が終わった畑において「野焼き」を行う。刈り取ったあとの余った大量の藁や雑草に火をつけてすべて燃やしてしまうのだ。まだまだ農業国であるインドでは当然この野焼きの規模も非常に大きなものとなる。

 これらのものがインドの大気汚染の原因と考えられているが、特に④と⑤が毎年11月頭くらいに起きるため、毎年11月を境に毎年インドの大気汚染が急速に悪化するというメカニズムが存在するのだ。

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