日本の勝ちパターンは何か?
このようなスマート化の背景にあるのが、コンピューティングの進化だ。AIなどのデータ処理能力が増加して、それがクラウドに収められる。そして、それをつなぐのが5Gだ。これまでの100倍の速度とも言われる5Gが次の競争のカギになる。だからこそ、アメリカが、ファーウェイなど中国企業の台頭に脅威を感じ、圧力を加えているのである。米中対立の背景はここにある。
「コンピューティング+クラウド+5G」という構図のなかで、日本とドイツの経済の柱である自動車業界には、Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)、いわゆる「CASE」の波が押し寄せている。
ドイツの自動車各社は、思い切ったEVシフトを進めている。今後、半導体のかたまりになるとも言われる自動車には電気のほうが相性が良いという判断もある。
すでにEV業界の寵児である、イーロン・マスク率いるテスラがベルリンでの工場立ち上げを発表している。尾木さんは、「ドイツ勢のEVシフトでサプライヤーが増えてくるという見通しのもと、EVの普及が進む北欧市場を取りにかかっている」と指摘する。ドイツ自動車勢としては、まさに殴り込みをかけられた格好だ。
このテスラも前述の通り、クルマを売ったあとにソフトウェアをアップデートすることで機能を進化させるといった「サービス化」を強化している。
さて、このような中で日本勢はどうしていくべきか。尾木さんは「企業連合」をポイントとしてあげる。製造業がサービス化していくには、これまでと違う発想が必要であるならば、多様性(ダイバーシティ)を持てば良いということだ。製造業はサービスが苦手であれば、サービスが得意なプレーヤーと組めば良いというわけだ。
幸い日本企業の多くは内部留保を増やしてきた。今は、ダイバーシティを構築するために必要な投資を積極的に行う好機だということもできる。
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