韓国の「読み方」

2020年4月23日

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澤田克己 (さわだ・かつみ)

毎日新聞記者、元ソウル支局長

1967年埼玉県生まれ。慶応義塾大法学部卒、91年毎日新聞入社。99~04年ソウル、05~09年ジュネーブに勤務し、11~15年ソウル支局。15~18年論説委員(朝鮮半島担当)。18年4月から外信部長。著書に『「脱日」する韓国』(06年、ユビキタスタジオ)、『韓国「反日」の真相』(15年、文春新書、アジア・太平洋賞特別賞)、『韓国新大統領 文在寅とは何者か』(17年、祥伝社)、『新版 北朝鮮入門』(17年、東洋経済新報社、礒﨑敦仁慶応義塾大准教授との共著)など。訳書に『天国の国境を越える』(13年、東洋経済新報社)。

 韓国総選挙が4月16日に行われ、文在寅政権の与党が定数300の6割となる180議席を得て圧勝した。選挙前に指摘したように新型コロナウイルス対応の成功が強い追い風となったが、韓国では同時に「保守の衰退」こそが原因だという主張も強い。今回の選挙はそうした時代の流れを反映したものだという見方だ。「時代の流れ」論とは何か、考えてみたい。

(AP/アフロ)

議席6割確保で強引な国会運営が可能に

 まずは選挙結果を確認しておこう。与党・共に民主党は、比例区用に作った衛星政党を含めて180議席を獲得した。さらに別の与党系比例区政党である「開かれた民主党」が3議席、与党と政策的に近い進歩派の正義党が6議席、与党系無所属が1議席となった。合計すると190議席となる。

 保守野党側は、朴槿恵前大統領の弾劾でバラバラになっていた保守政党が再結集した民主統合党と比例区用の衛星政党で103議席、保守系無所属が4議席。中道寄り野党・国民の党が3議席だった。

 韓国の国会法は多数党による強引な国会運営を防ごうと2012年に改正され、本会議への議案上程には6割以上の賛成が必要とされるようになった。どの党にとっても単独で6割は難しいだろうと思われていたのだが、今回の選挙で与党がクリア。文政権は、宿願である検察改革などを強引に進める力を得たことになる。

 与党勝利の要因として挙げられるのは、新型コロナ対策である。一日の新規感染者数は4月に入って二ケタが定着してきた。専門家は感染再拡大の可能性は常にあると警戒しているが、この点については国際的にも高く評価されている。

 韓国のテレビ局MBCの出口調査を見れば、新型コロナ対策が与党の追い風となったことは一目瞭然だ。「コロナへの政府の対応」が投票に影響を与えたと答えた人が58%で、「政府のコロナ対応はよい」という回答は74・1%に上った。「よくない」と答えたのは22・4%だけだ。

 この調査での大統領支持率は52・6%である。政府のコロナ対応に対する評価は、政権支持者以外にも広がっている。やはり、この追い風は強かったろう。

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