World Energy Watch

2020年6月16日

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 世界の航空需要は、少し回復したものの、大きく落ち込んだままだ。オフィシャル・アビエーション・ガイド(OAG)によると6月8日の週に予定されている世界の全フライトは、31万154。昨年の6月10日の週のフライト数88万1663に対し35.2%しかない。日本は48.6%減なので、まだ落ち込み幅は少ない方だ。シンガポール95.4%減、フランス90.0%減、イタリア90.3%減、米国67.9%減、インド70.2%減と世界の主要国では大きな落ち込みを見せている。

 航空産業は固定費の負担が高く、フライト数の減少はたちまち会社の存続基盤を脅かすことになる。今年の旅客数と航空会社の収入は昨年比50%以上減少すると予想されている。既に倒産した格安航空会社も出てきたが、各国政府は国の顔とも言える航空会社に対する巨額の資金投入を行い航空会社を支えている。その額は5月中旬の時点で1230億ドル(13兆円)に達している。

 一方、航空会社に対しては、温暖化の観点から厳しい声も広がっている。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんが大西洋横断に航空機を使用せず、ヨットを利用したように、二酸化炭素排出量が相対的に多い航空機利用を抑制する動きが欧州では広がっている。温暖化対策に熱心な欧州主要国政府も航空券に新たな課税を行い航空機利用を抑制する政策を導入中だ。そんななかで、コロナ禍に苦しむ航空会社に対し補助金支出の条件として温暖化対策を義務づける政府も出てきた。収入減と雇用維持に苦しむ航空会社に温暖化対策として追加費用支出を迫る政策を今行うことは正しいのだろうか。

(Tanaonte/gettyimages)

大きな影響を受ける世界の航空産業

 航空業界は、湾岸戦争、米国9.11同時多発テロ、サーズ、リーマンショックなどにより、旅客数の落ち込みに直面したこともあるが、その影響は長期化はせず、旅客数に輸送距離を掛けた旅客キロメートル数は、1990年から30年間で4倍以上に拡大している。順調に成長を続けている産業だが、競争環境が厳しい米国では合併も続き、今世界の旅客航空部門は米国の3大航空会社が、ほぼ同じ規模の旅客キロ数となり上位を占めている(図-1)。ちなみに、ANAの2018年度の旅客キロは915億だった。JALは709億旅客キロだ。

 米大手3社は、アライアンスと呼ばれるマイレッジ使用を共通化する航空会社のグループを代表する会社にもなっている。国際航空運送協会(IATA)によると国際線の3アライアンスのシェアは図-2の通りだ。ユナイテッド航空、ANAが属するスターアライアンスが1位のシェアだ。JALはアメリカン航空と共にワンワールドに属している。

 今年1月までは、世界のフライト数は前年比プラスで推移していたが、2月新型コロナの影響により中国のフライト数は前年比55.1%減となり、世界全体でも8.6%減となった。感染の拡大によりフライト削減は世界に広がり、3月、韓国49.5%減、イタリア49.0%減、シンガポール43.1減と影響が拡大した。ただ、感染が広がっていなかった米国は2.2%減、日本16.5%減、インドは7.6%増となっていた。

 4月には影響はさらに拡大し、イタリア85.6%減、シンガポール93.8%減、米国56.9%減、日本40.3%減、インド83.3%減となり、全世界のフライトは64.5%減。現在も約3分の2のフライトが削減された状況が続いている。

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