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田部康喜のTV読本

2022年2月26日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 「なぜ、君は踊るのか。―バレエダンサー 飯島望未―」(TBS、2月19日:視聴アプリTVerで1週間以上視聴可能)は、世界的なバレエ団のなかで、日本人バレエダンサーが最高峰の「プリマドンナ」「プリンシパル」(男女共生社会の実現に沿って、「プリンシパル」に統一されている)を輩出している、理由の一端が理解できるドキュメンタリーの秀作である。

(abezikus/gettyimages)

 飯島望未は、米国の名門・ヒューストンバレエ団に2007年に15歳で留学、翌年には当時史上最年少でプロ契約を結んだ。19年にトップの「プリンシパル」になった。昨年からは、日本の「K―BALLET COMPANY」に本拠を移した。世界的なバレエダンサーだった、熊川哲也が舞台監督として主宰している。

 バレエダンサーという枠組みを超えて、モデルなどでも活躍してきた。世界的なファッション雑誌である「VOGUE」の表紙を飾り、Chanelの「ビューティ・アンバサダー」を務める。バレエダンサーとは思えない、髪型やファッションによって、若者の心をとらえている。

実は知られていない40万人がバレエを学ぶ国

 番組を観るきっかけとなったのは、世界的なバレエ団のトップの座を日本人が占めている事実である。「くるみ割り人形」は、欧米の冬の風物詩である。物語がクリスマスイブに展開されるからである。4年前の年末にロンドンのロイヤル・アルバートホールでの公演の主演のマリー姫役が、日本人だったことに驚いた。

 「K―BALLET COMPANY」の主宰者である、熊川哲也はその先駆けだろう。英国ロイヤルバレエ団において、プリンシパルの座を獲得した。吉田都は、バーミンガム・ロイヤルバレエ団のプリンシパルを務めたあと、英ロイヤルバレエ団に転じて、ここでもトップの座に立った。菅井円加は、ハンブルグバレイ団のプリンシパルである。

 日本が「バレエ王国」であることは、一般的にはあまり知られていない。列島各地のバレエ教室で、約40万人もの少年少女から中高年までが学んでいる事実もまた、驚きである。

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