2022年12月4日(日)

田部康喜のTV読本

2022年4月22日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

複雑に絡み合う人間関係

 第2話(4月17日)に至って、誘拐犯は執拗に警察を排除するように要求を続ける。すでに、前話によって、温人(二宮)と未知留(多部)は、誘拐犯が仕掛けた身代金引き渡しに失敗していた。ふたりは、身代金5億円をスーツケースに入れて、犯人が次々に指示する場所に急ぐのだったが、カネがあまりにも重いために、未知留が倒れこんで到着時刻に間に合わなかった。

 いったんは、誘拐した娘と身代金の交換をやめることを告げた犯人だったが、「警察を完全に排除する」ことを条件にして、交渉を再開したのだった。

 温人と未知留の夫婦は、警察のすきをついて、ネットニュースに出演して、娘が誘拐されていることを公表したうえで、犯人との交渉のために警察に捜査から手を引いてもらう必要があることを訴えた。

 このドラマの舞台回しとして、SNSやネットニュースなどの新興メディアが登場するところが、まさに現代の誘拐劇なのである。夫婦の行動は、既存のメディアのプライドを傷つけた。温人の自宅を取り囲むメディアから「また、ネットニュースで話すつもりですか!」と罵声に近い声が飛ぶ。

 温人と未知留は、大学時代の友人である、ふたりの男と協力関係を結ぶことになる。ひとりは、元警視庁捜査一課の刑事で警備会社社員の東堂樹生(とうどう・いつき、濱田岳)と弁護士の三輪碧(みわ・あおい、賀来賢人)である。三輪は、未知留と半年つきあった過去がある。温人に奪われたのである。

 誘拐事件の捜査の最前線に立つ、神奈川県警・捜査一課特殊犯罪対策係補佐の葛城圭史警部役に玉木宏、捜査一課長の吉乃栄太郎警視役にサンドウィッチマンの富澤たけし、管理官の日下部七彦警視役に迫田孝也。

 葛城警部(玉木)は誘拐犯罪のプロだが、4年前の事件で失敗している。温人と未知留が頼った、元刑事の東堂(濱田)は葛城の部下だったことがある。

 「どうして、また(誘拐事件に)東堂が出てくるんだ」という葛城(玉木)に、一課長の吉乃(富澤)は諭す。「もう4年前のことは忘れろ」と。葛城は、失敗した4年前の事件と、今回の誘拐の犯行が似ている、と考えているのである。

 身代金を用意するために、自社株を担保にカネを借りた、日本を代表するネットサービス企業・NEXホールディングスCOOの阿久津晃(あくつ・あきら、松本幸四郎)も実は、温人の会社を乗っ取って外資に売ろうとしているのではないか。温人とは家族ぐるみの付き合いである。さらに、誘拐事件との関係は。

 誘拐事件に、警察の面子とカネが絡み合う。ドラマは、場面転換のよさによって、複雑な伏線をうまく張っていっている。

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