2022年10月6日(木)

冷泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」

2022年4月30日

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冷泉彰彦 (れいぜい・あきひこ)

作家・ジャーナリスト

ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。近著に『「反米」日本の正体』(文春新書)など。メールマガジンJMM、Newsweek日本版公式ブログ連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

 統合型リゾート施設(IR)に関して、観光庁はこの4月28日を期限として整備計画の申請を受け付け、大阪府と長崎県が整備計画を申請したと発表、今回の申請は出揃った。

 国の認可枠は3件であるが、申請が2件だけだからといって自動的に認可されるわけではない。秋頃と言われる発表までの期間、計画書の審査が行われ、その結果として認可が決まる。

(CasarsaGuru/gettyimages)

 ここに至るまでの期間、多くの地域が申請を検討していたが、断念に追い込まれている。最後まで積極的な動きを見せていたのは和歌山県だが、申請期限の1週間前になって県議会が構想を否決し、仁坂吉伸知事は悔しさをにじませていた。

 この間、各自治体では激しい賛否両論が吹き荒れた。そのほとんどはIRに「付き物」であるカジノへの賛否であった。ギャンブル中毒患者への悪影響の懸念、治安悪化への不安といった感情的な反感は、政治的に大きな力となって地方政治を揺さぶり、結果的に各地のIR構想は迷走した。誠に残念としかいう他ない。

 ただし、誤解してほしくないのは、残念というのは、申請が少数に留まっただけではない。そもそもIRという概念について、日本では、ギャンブルに矮小化された議論、あるいは報道一色となり、正確な理解がされていないということが極めて残念である。

IR=カジノではない

 IR(統合型リゾート)の開発は、来るべき「ポストコロナ」の時代における、再度のインバウンド旅行ブームに備える切り札と言える。コロナ禍以前の年間4000万という訪日観光客を海外から迎えた日本だが、コロナ禍に日本人の全く知らないところで、日本ブームは更に加熱しており、今後は年間6000万も射程に入ってくるであろう。

 6000万という数字は、裾野の広がりを抱えているかもしれないが、同時にこのマーケットには3つの特徴がある。1つが富裕層であり、もう1つがリピーター、つまり日本を気に入って再訪してくれる層だ。そしてこれにもう1つ、ファミリーという属性が加わる。

 この3つは実は「統合」している。出張で日本に訪れた人が、日本を気に入ることで、今度はリピートしてくる、そしてその際には家族を連れてくる、そしてその中には多くの富裕層が含まれるということだ。IRというのは、この巨大市場に照準を合わせた独特のビジネスモデルに他ならない。

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