未来を拓く貧困対策

2022年5月11日

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 さらに恐ろしいのは、図表に示された計画は氷山の一角に過ぎないという点である。児童福祉関連に限定しても、子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく「子どもの貧困対策計画」、母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づく「自立促進計画」、厚労省通知に基づく「母子保健計画」「社会的養育推進計画」などの計画が存在する。

 計画策定の仕事を兼務する職員までカウントすれば、事態はより深刻なものとなるだろう。

計画策定で浪費される人的資源

 次に、個別の計画策定の動きをみていこう。図表2は、自殺対策の推進に向けて国が策定した対策の全容である。国は全体計画に当たる大綱を策定し、自殺総合対策推進センター(JSSC)を通じて、都道府県、市町村に対して計画策定を促し、自殺者の減少という目標を達成するというしくみになっている(図表2)。

 計画を実行するために、厚労省では、「市町村自殺対策計画策定の手引き~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」をつくり、市町村がどのように計画を策定すべきかを手引きとして示している。手引きに示された計画策定の流れを、図表3に示した。

 関係者を集めて協議会を設置し、関係者会議を開いて認識を共有し、実態を把握するために住民向けのアンケートやインタビューを実施し、使える社会資源を把握する。そのうえで、時宜に即した計画名をつけ、自殺者を減らすための事業を選定・実施し、事業の成否を判断する指標を設定する。事業実施後は結果を評価し、改善につなげる。

 この計画を立てるだけで、大変な人的資源が必要となることがご理解いただけるだろう。

 地方公務員は2022年4月1日現在280万661人で、ピーク時の1994年と比べると約48万人の減となっている(総務省「地方公務員の状況」)。

 やせ細った人員体制で計画を立てることは現実的ではない。結局、やる気のある一部の自治体を除けば、計画策定のノウハウを持つ、しかし実行力はないコンサルティング会社に計画策定の仕事を丸投げすることになる。結果、全国各地で金太郎飴のような計画がつくられる。

 言うまでもなく、計画を立てるだけでは、市民サービスは向上しない。しかし、自治体の現場には立てた計画を実行するだけの余力は残っていない。成果など出るわけもなく、担当者は数字合わせに奔走することになる。

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