2022年10月6日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月18日

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 4月27日付の米フォーリン・アフェアーズ誌で、シャシ・タルール元国連事務次長が、インドのモディ政権がウクライナ侵攻について口を濁し、いずれの側に立つのかを明言しないことを批判する論文を書いている。

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 今回、ウクライナ問題に関するインドの言動には失望させられる。バイデン大統領を始めとする西側首脳の働き掛けの効果も全くないようである。3月の岸田文雄首相のインド訪問に際する共同声明も、いずれの側に立つかを明確にすることを拒否するインドの態度を反映したものに違いないが、ウクライナ危機への言及は水臭いものである。他方で、ロシアのラブロフ外相は、インドの中立の立場を評価すると言明している。

 インドの態度については幾つか説明があるが、インドがその武器をロシアに大きく依存しているという実際的な理由が指摘されている。恐らく現有の武器の70%あるいは80%がロシア起源のものと見られるので、単にS-400対空ミサイル・システムのような新規の武器調達だけでなく、部品と維持についてもロシアに頼っている。原子力潜水艦と極超高速クルーズ・ミサイルについてロシアの技術協力を得ているという事情にもある。

 中国の脅威に対抗する上でインドはロシアを必要としているとの見方もある。歴史的な事情を指摘する向きもある。国連でカシミール問題が議題とされることをロシアが何度か拒否権によって防いだことがある一方、インドはチェチェンやアブハジアの問題でロシアを非難する決議に反対票を投じたことがある。

 しかし、インドの態度はもう少し複雑のようでもある。4月1日、ニューデリーにおける英国のトラス外相との共同記者会見で、ジャイシャンカル外相はウクライナについてのインドの関心は、例えばその近接性の故にアフガニスタンよりも低いと述べた。

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