貫禄を示す格好となった。22日に千秋楽を迎えた大相撲夏場所は横綱照ノ富士が3場所ぶり7度目の優勝を飾った。
最後の最後まで波乱含みだった今場所で1人横綱の務めを果たした。3敗で並び優勝争いを演じていた前頭4枚目の隆の勝が12枚目の佐田の海に、千秋楽で敗れて4敗に。隆の勝、佐田の海と、楽日を6連勝締めした小結大栄翔の3力士が4敗で並んだ。だが、結びの一番で相手の大関御嶽海に敗れれば4人の優勝決定トーナメント戦となるところを、照ノ富士は文字通りの横綱相撲で圧倒し、もろ差しから力強く寄り切ってみせた。
一方、何もできずに優勝の引き立て役となった御嶽海は東の大関の番付でありながら6勝9敗。西の大関正代も5勝10敗と惨たんたる星取に終わった。辛うじて貴景勝が既に負け越していた正代との大関同士の一番を制し、楽日で勝ち越しを決めた。大関が2場所連続の負け越しで関脇に陥落する現行のカド番制度となった1969年名古屋場所以降、皆勤していた3大関が揃って負け越せば史上初の「汚点」だったが、そこは何とか回避された。
不甲斐ない結果が続く大関陣
大関の不甲斐なさを嘆く声が今も殺到している。本来ならば優勝争いに絡まなければならないはずの3大関は全員が低空飛行で、とにかく元気がなかったのだからやむを得ないだろう。実際に今場所も含め2018年の初場所まで振り返ってみると、これまでの26場所中、大関の優勝は何とたったの2場所(20年11月場所=貴景勝、21年5月場所=照ノ富士)しかない。「大関=弱い」のイメージに拍車がかかりつつある中、今場所の体たらくによって一気に批判が集中しているのが偽りのない現状だ。
大相撲OBの解説者からは早々と負け越しが決まっていた大関御嶽海と優勝がかかる横綱照ノ富士が楽日で顔を合わせた編成に不満を漏らす意見も出た。編成側からすれば非常に難しい判断だったとは思うが、組み合わせの面を考えると決して不自然なマッチメイクではない。ただ、両力士のモチベーションの差と一方的な相撲に終わってしまった内容を振り返ってみると、その指摘は「ごもっとも」といった感じであった。
しかしながら、諸々言われた今場所を自らの優勝によって鎮めた照ノ富士はやはり「さすが」だった。初日で大栄翔に不覚を喫するなど、中日で隆の勝に敗れるまで波に乗り切れなかったが、9日目以降の後半戦からは怒とうの7連勝。終わってみれば優勝7回は歴代20位タイとなり、自身が今年の目標に掲げる2桁優勝10回へも前進した。