「Wedge」2022年6月号に掲載されている特集「現状維持は最大の経営リスク 常識という殻を破ろう」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
データが次の〝石油〟となっている今、その利用の可否が命運を握る。日本人、日本企業はどのように変化しなければならないのかを提言する。
話し手・山本康正(京都大学経営管理大学院 客員教授)
聞き手・構成 編集部(大城慶吾、友森敏雄)
話し手・山本康正(京都大学経営管理大学院 客員教授)
聞き手・構成 編集部(大城慶吾、友森敏雄)
京都大学、東京大学大学院、米ハーバード大学大学院を経てグーグルに勤務した経験を持つ山本康正氏。現在は、日米を行き来しながら投資家としてスタートアップを支援するかたわら、京都大学大学院で後進たちの指導も行う。山本氏から見える日本の常識・非常識とは何か。
日本人が知らない
常識とは何か?
世界では今、大きな地殻変動が起きている。日本企業や日本人が認識すべきなのは、①旧態依然としたビジネスモデルでは生き残れないこと、②高いシェアを持つ大企業ではなく、変化できる企業が生き残ること、③自分たちも常に変わらなければならない危機感を持つこと、という3つの認識と、ベンチャースピリットだ。
「データは次世代の石油」と言われるように、AIなどのテクノロジーを使うことによって、ビジネスモデルそのものが変化している。例えば、日本企業が得意としてきた「良いものを安く売る」というワンタイム方式がほとんど通用しなくなってきていて、アマゾンプライムなどの「サブスクリプションモデル」が主流となりつつある。
データ活用という点では、日本もうかうかしているとアジアの国々にあっという間に抜かれてしまうだろう。例えば、インドネシア。大手オンラインマーケットプレイス「トコペディア」と、配車・配送サービスの「ゴジェック」が昨年5月に経営統合して「ゴートゥーグループ」となった。日本を超える2億人の人口を持つインドネシアで、このような企業が基点となってデータ活用を行えば、その威力は凄まじいものになる。また、ゴジェックの創業者でミレニアル世代のナディム・マカリムは、第2次ジョコ政権に入閣し、データの価値が分かっているからこそ、国の行政改革を進めているという。