5月24日、中国とロシアは、日本海と東シナ海に戦略爆撃機を飛ばし、共同演習をおこなった。両国はこの行動を「共同パトロール」と称しているが、ロシア空軍のTu-95MS戦略爆撃機と中国軍のH-6K戦略爆撃機が参加し、日本海上空から東シナ海上空を編隊飛行した。共同演習は13時間にわたって続き、この間、航空自衛隊の航空機がスクランブル発進をした。
この中露の戦略爆撃機による共同演習は、バイデン大統領の日米豪印4カ国の枠組みであるクアッドの首脳会合のための訪日に合わせて行われたものであり、示威行為である。こういう行動をなぜやるのか、正確なところはよくわからないが、中露にはこういうことをする癖がある。武力を誇示し、相手を威嚇する策であるが、日本にはあまり効果がない場合が多い。
1978年に日中平和友好条約が締結されたときに、当時のソ連が反発し、北方領土に軍を駐留させて日本を威嚇しようとしたことが思い出される。しかし、日本がそのことで動揺することは全くなかったので、しばらく軍を北方領土に置いていたが、効果がないことが明らかになったあと、撤収した。
中国や北朝鮮も軍事パレードをするなど、軍事的威嚇を外交上の効果を狙って行うことがある。ただ、日本がそのことで動揺することはあまりない。これは一つには日本人の平和ボケの効果でもあるが、そうでなくとも、こういう演習をあまり心配する必要はない。
ただ、今回の共同演習は、ウクライナ戦争にかかわらず中露の結束はかなり強固であるということを示すものである。2月の共同宣言で、プーチンと習近平は、「両国の友情には制限がなく、協力が禁じられた分野はない」などとしている。こうした誓約を行動で示したということだろう。