2022年12月9日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年6月21日

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 5月20日付のフォーリン・アフェアーズ誌で、米国シンクタンクCNAS (新米国安全保障センター)のステイシー・ペティジョン(防衛計画長)及びベッカ・ワッサー(ゲーム研究所共同リーダー)が連名で寄稿し、最近行なったウォー・ゲームによれば、台湾を巡る米中紛争は急速に核化する可能性があることが分かったと述べている。

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 CNAS等のウォー・ゲームの結果につきペティジョン等は次の通り説明する。興味深く、深刻だ。

(1)台湾を巡る米中衝突は、急速に核化することが分かった。中国は当初から台湾への外部支援阻止のためには核使用の脅迫が必要だと判断していた。攻撃は双方のレッド・ラインを超えて、報復攻撃のサイクルに発展し、エスカレートした。

(2)シミュレーションで中国は、グアムに先制攻撃を加え、米国は中国港湾とその周辺にいた中国艦船を報復攻撃した。これに対し中国はハワイの目標を報復攻撃した。

(3)中国は、米国等の台湾防衛戦闘意志を挫くために核使用の脅迫をする。しかし米国は中国の警告を信用しない。その結果中国はエスカレートする必要性を感じ、ハワイ沖で威嚇のために核を爆発させた。ウォー・ゲームはここで終わったが、米国はこれに報復した可能性が高い。

(4)米国は長距離攻撃武器の備蓄増大や海中戦力への投資により通常戦力の優位を維持することが必要である。新たな基地へのアクセスも必要となる。同盟国等との統合ネットワークと、中国のレッド・ラインを越えないで戦争に勝つための軍事戦略を作成することが必要である。それは今から1、2年内にやることが必要だ。

 中国の台湾侵攻を巡る核を含むエスカレーション・リスクは大いに現実味がある(主な階段は本土攻撃と核使用である)。中国は今後、空や海の核を拡大し、実際の戦闘作戦を進め、米国等の戦闘意志を挫くために核で脅迫をするだろう。プーチンや中国の考えを見ると、核の敷居が低くなっていることに強い危惧を覚える。

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