2022年11月29日(火)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年6月24日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 ところで革新的な技術導入が進んでも、エサが必要なことは変わりません。そこで養殖量を何倍にも伸ばすためには、一体どれだけのエサが必要で、それは何処から手配するのか? この質問に対して、まだ納得のいく答えを誰からももらったことはありません。

 これまでは、エサに使う魚粉や魚油の高騰で、魚由来を減らし、植物由来の原料の比率を増やすことで、エサの需要増加に対応してきました。今では、魚由来のエサが約3割に対して植物由来が約7割です。

アトランティックサーモンのエサの中身 3割は魚由来で7割が植物由来(出所)NSC 写真を拡大

 魚粉や魚油といった魚由来のエサの比率をゼロにもできるようですが、その場合、養殖されるアトランティックサーモンは、本来自然界では食べることがなかったエサのみで育てられることになります。これはこれで、病気のリスクや、身質の変化などの課題が出てくるのではないでしょうか?

エサでも注目される「持続性」

 足りなくなって行く養殖のエサに関する対応策は、どうしていけばよいのか? 現在、候補として研究が進んでいるものの中には、①昆虫(動物性タンパク)、②木くず(通常のエサの中に混ぜて使用)といったものまで出て来ます。また魚由来としては③深海にすむ未利用魚のハダカイワシを利用する可能性も上がっています。

 魚の養殖には、必ずその分のエサをどうするか考えねばならないのです。サステナビリティの注目度が上がるにつれ、販売に際し重要度が増しているのがASC(養殖の水産エコラベル)認証です。認証を得るためには、使用するエサの持続性が重要です。

 簡単にいうと、乱獲された小魚などを使ったエサを使用することは、国際的な市場で認められなくなるのは時間の問題です。つまり、エサになる魚のサステナビリティも考慮して手配を考えていかねばならないということです。

日本の魚の養殖でのエサ

 さて、話を日本の魚の養殖のエサに戻しましょう。最初に言えることがあります。それは、資源量が持続的ではない魚種や、食用になる魚の未成魚を大量に丸のままエサにすることは、極力止めるべきということです。もちろん、資源が潤沢でエサにしても、最大持続生産量(MSY)が維持できるなら構いません。しかしながら、養殖魚を増やすために天然魚を減らすとしたら、それは本末転倒ではないでしょうか?

(筆者撮影)

 上の写真はノルウェーでフィレーにされたニシンです。可食部ではない頭・骨・内臓などはフィッシュミール(魚粉)に活用されます。身の可食部分は5割弱なので、その残りがフィッシュミールに回ります。

 また、干しシシャモ用の原料は除きますが、北欧のカラフトシシャモでは、オスメスに選別して、メスの卵を抽出した残りをフィッシュミールに加工しています。オスメスをそのままフィッシュミールにするケースもありますが、それはあくまでも、資源状態が極めてよく、かつフィッシュミールの国際相場が高い時に限ります。

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