アラムナイ(Alumni)という言葉をご存知だろうか。聞き慣れないかもしれないが、これは高校や大学の同窓生という意味の英語である。アラムナイ・ネットワークとは、文字通り卒業した同窓生たちのネットワークである。訳すれば同窓会ということになろうが、日本のそれとはかなり意味合いや機能が異なる。
私が卒業した大学の場合、同窓会からの封書が届けばそれはまず間違いなく寄付の依頼だ。やれ創立●年の記念式典をやるだの、新しいラボを作るだのとの名目で寄付を募ってくる。またゼミの同窓会も毎年あって、私はいつも楽しみに参加しているが、こちらは完全な飲み会である。あの頃はああだったこうだったと、酔っ払ったおじさん達の非生産的な集まりとなっている。
米国と日本で異なるアラムナイ・ネットワーク
私は米国のビジネススクールを卒業しているのだが、そこでのアラムナイ・ネットワークは日本とはかなり趣が違う。事務局から送られてくるニュースレターには、起業して上場を果たした卒業生が寄稿していたり、オンライン・シンポジウムの案内が記載されている。パーティーの企画は住んでいるエリア単位で頻繁に行われ、卒業年次を問わず多くの人が気軽に集まってネットワーキングを行う。
一義的には社交の場であるのだが、それを超えてビジネス上での情報交換を行なったり、M&Aや提携を秘密裏に模索する場であったりする。私は欧州やASEANにおけるアラムナイ・ネットワークの事情までは精通していないが、少なくとも米国においては、卒業をきっかけに異なる年代やさまざまな業種の間でコミュニケーションを促進させる仕組みとして機能しているのである。絶えず外部とつながって、刺激や新しい価値を見出していこうとするカルチャーなのであろう。