「横浜名物」と聞いて、「崎陽軒のシウマイ」を思い浮かべる人も多いに違いない。何せ、1928年(昭和3年)に発売以来、もうすぐ100年になる超ロングセラー商品だ。関東に住む人はもちろん、全国各地に多くのファンが存在する。
「発売以来、豚肉と干帆立貝柱を使う原料は同じで、一度も味を変えようと意図したことはありません」
4代目社長の野並晃さんはそう語る。だが、もちろん、同じものを単に売り続けることで、今日まで存続できたというわけではない。世の中が大きく変化する中で、「常に楽しみ方を変えてきた」と野並さんは言う。常に新しい「楽しみ方」、新しい形を提案し続けることで、多くのファンを惹きつけてきた、というのだ。
実は崎陽軒のシウマイは、買う人の「楽しみ方」を考えることから生まれた。もともと崎陽軒は1908年(明治41年)に初代横浜駅(現在の桜木町駅)の構内営業の許可を得たことをルーツとする。牛乳やサイダーなどの飲み物や餅や寿司などを売っていた、という。その後、横浜駅が現在地に移るのと共に移転。大正時代には駅弁も売るようになった。