2024年6月25日(火)

世界の記述

2022年11月8日

 米国カリフォルニア出身のマイク・モアさん(48歳)は、飲食のメニューに写真がない時の苦悩を語っていたが、それは「挑戦だ」と開き直っていた。それよりも、日本での一人旅を終えた彼には、唯一、想像を裏切られたシーンがあったという。

 「夜の渋谷と新宿が、あそこまで汚くなっているとは思いませんでした。若者が多く、パーティエリアだからかもしれませんが、それだけは期待外れでした。日本は、どこもかしこもきれいだったので、少し残念な気がしました」 

 日本は清潔な国として、世界中に知られている。海外でも、日本を旅した人たちは、必ずこのことを口にする。外国人の多くは、彼らの国の清掃業者が昼夜活動しているにもかかわらず、ゴミが減らない現実を嘆いている。この渋谷や新宿のような衛生問題は、東京都の今後の課題にすべきだろう。

女性への配慮が足りない

 ロシアから10月半ばに到着したミハイル・ツドリクさん(20歳)は、日本語と日本文化に興味を持っているという。今後は、学生になって日本で就職したいという希望もあった。ただ、不便なことがこの国にはあるようだ。

 「銀行や郵便局での手続きです。ロシアでは、電子登録ひとつでスムーズにできるのに、日本は全部が手書きという面倒な点が気になりました」

 欧米では確かに、病院も郵便局も銀行も、ここ数年で予約、郵送、送金といった手続きのほぼすべてが完全に電子化された。例えば、病院に行きたい時には、診療所、時間、医師までも自由に選ぶことができる。3分もあれば予約を取ることが可能だ。リモート診察でも処方箋が出るため、どこにいても応急措置を受けられる。日本はその意味で、手続きが不便だとの印象を持たれるのは、分からなくもない。

 また、欧米人が感じていた共通の違和感は、マスク事情だった。マスクの装着については、日本の厳しいルールに従いはするものの、旅行中、常に疑問を持ち続けているようだ。南フランスから来た呼吸器内科のアヌシュカさん、外科医のアレクサンドルさん夫妻(ともに31歳)は、渋谷駅前でこう話していた。

 「渋谷のような場所では、念のためマスクをしているほうが安全だと思います。ただ、当初のコロナと違い、オミクロン株以降、飲食店以外では、そこまでマスクを付ける必要はないかもしれません。例えば、人通りの少ない場所では、マスクはもういらないと思います。日本人は、本当に真面目です。フランスでは考えられない現象です」

 日本が好きで、2回目の旅行をしているという2人。食事も安くて美味しく、すべてを満喫していると話すが、「女性への配慮が足りない」ことが気になったようだ。妻のアヌシュカさんが気まずそうな表情をして語った。

 「ご覧の通り、私は妊娠しているのですが、電車の中でそれに気づいていても、なかなか席を譲ってくれないのです。男女の平等については、フランスのほうが優れているよう感じます。それに優先席があっても、高齢者に対する配慮が少ないのも残念だと思いました」

 欧米では、女性に限らず、助けを必要とする人々に手を差し伸べる文化だ。しかし、日本人は、たとえそうしたくても「世間の目」が気になるあまり、その一歩が踏み出せない。日本人には理解できる「空気」ではあるが、訪日外国人には誤解されてしまう。

 特に欧米人は、見たままを受け止める傾向が強い。悪気のない行為が、日本人には裏目に出てしまうことも多い。だが、助けが必要な人には、心配りできる勇気と行動だけは持つべきだと、日本の光景を見ながら筆者も時々感じている。


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