2024年11月23日(土)

MANGAの道は世界に通ず

2023年1月7日

日本は段階3が育ちやすい

 実は、成人発達のこの割合の存在比は、国や環境ごとにだいぶ違うのだ。理論の発祥となった自由の国「アメリカ」は、成人の20%の割合がこの段階(段階4)に達していると言われている。

 逆に日本は、「人に迷惑をかけないようにしよう」「ルールをキチンと守りましょう」という教えが文化的にも徹底されているため、他人の目を気にして規律を守る、「段階3型」までへの意識成熟が非常にスムーズだ。

 それによって多くの大人が、意識重心をそこに属しており、安定した社会生活が営まれているといえよう。

 ただし、自分なりの信念を確立する「段階4」に達している割合は、著しく少ないであろうといえる。体感、社会人の5%もいないのではなかろうか。

 日本も戦後間もない時代には、国士と言われる、「自分なりにこうする」と考えて発言することができた、強固なリーダーが政治の世界などに数多く存在した。だが、高度経済成長を迎え、「安定成長と維持のために、このようなルールに従ってやる」というマニュアル化・形骸化が過度に進み、義務教育の環境も相まって「これが良しとされているからこうする」という、従うだけの従順な兵士が量産される状況となった。

 結果、現代のビジネスリーダーも一見リーダーのようで、「このようにすれば評価が上がるから」「こうすればもっと稼げるから」という、あくまで「他人軸」での価値観で生きていることが多い。それだと真の意味でのイノベーションは生まれないのだ。

 世間のルールに逆らってでも「自分の理想のためにこうする」と、強いビジョンと自分なりの価値観に従い世界を導けるリーダーを、今こそこの日本は欲している。まさに「チ。」で描かれたキャラクターたちだ。著者自身もこれに従い、「図体だけ大きく、徐々に沈んでいく泥舟」「今後も永久に続く、失われた30年」などと言われ続ける日本から脱却し、導いていきたいと考えている。日本の復興の鍵は、『チ。』に詰まっていると言っても過言ではないのだ。

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