こうした状況を勘案し、しばらく国政選挙がないと仮定すれば、ポスト岸田の有力候補がみえないこともあって、第三の可能性、不安定ながらも、しばらく政権が続くという展開がもっとも現実味をおびてくる。
もっとも、〝低空飛行〟を余儀なくされるにしても、失速防止の手立ては必要になってくる。2人の超大物、元首相を引き出す「令和の高橋是清」構想も、そのための苦肉の策だろう。
政策課題で実績をあげることが困難ならば、人事で大向こうをうならせようという狙いだが、邪道であるのは明らかだ。はやり正攻法で実績をあげていくのが、とるべき方策だろう。
首相はウクライナを電撃訪問せよ
首相は23年1月、欧州を歴訪する予定と報じられている。私見ではあるが、この機会にウクライナを訪問、成果を期すのも有効な一法だろう。
G7各国首脳で訪問していないのは岸田首相だけで、ウクライナ問題が討議されるサミット議長でありながら、ゼレンスキー大統領と会ったこともないというのは、議論を進めるうえでも大きなマイナスだろう。各国首脳の目にどう映るかという懸念もある。
キーウを予告なしに電撃訪問して、大統領と会談、市民を激励するところなどが報じられれば、アジアの首相として訪問する意義は大きい。国民に好印象を与える効果を期待できるだろう。
23年の永田町はどんな風景を見るのだろうか。岸田政権は上昇気流に再び乗ることができるか。それとも失速するのか。
内外の動きを子細に見渡せば、ごくわずかではあるが、政権にとって好ましい兆候も見え始めていまいか。
各メディアが軒並み、世論調査が最低の内閣支持率を記録したと書き立てるなか、12月初めに行われた日本テレビ系列各局と読売新聞の調査では、不支持率こそ上昇したものの、支持率も39%とひさびさに前月を上回った。
激しい物価高のなかで、東証プライム上場企業の冬のボーナスの全企業平均では78万6900円と前年に比べ8.5%、4年ぶりにアップした。
こうした好機を生かすことができるか、それとも見逃しに終わるか。年初の政権運営、首相は慎重なうえにも慎重な差配を迫られる。