2024年11月23日(土)

#財政危機と闘います

2023年3月11日

「基金」構想の落とし穴

 2020年度現在、社会保障の規模は給付面では132.2兆円、負担面では184.8兆円となっている。「異次元の少子化対策」とそれを支える「基金」構想では、給付も負担もさらに上乗せされることになる。

 実は、この「基金」構想には落とし穴がある。統計で見える事実から明らかにしていきたい。

 関係性1:社会保障の規模の拡大は、負担で見ても給付で見ても、出生率を低下させる。

 図1は、経済協力開発機構(OECD)38カ国の社会保障への国民負担および社会支出と出生率の関係を示している。それによれば、国民負担(租税及び社会保障負担)が増えれば出生率は低下し、社会支出が充実すれば出生率が低下する。このことから、社会保障の規模が拡大すれば、出生率が低下する関係の存在が示唆される。

 関係性2:社会保障負担の拡大は、経済成長率を低下させ、経済成長率の低下は出生率を低下させる。

 図2からは、OECD38カ国の経験によれば、国民負担を増せば経済成長率が低下し、経済成長率が低下すれば少子化が進む関係の存在が示唆される。

 したがって、「異次元の少子化対策」が新たな財源を社会保険に求め、社会保障の規模を今以上に拡大させるならば、その意図とは反対に、かえって少子化を加速化させる可能性が高い。つまり、「異次元の少子化対策」は確実に失敗し、日本の没落を加速させるだろう。


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