2024年5月20日(月)

経済の常識 VS 政策の非常識

2023年2月9日

 岸田文雄首相が、2022年1月4日に、「異次元の少子化対策」をすると言って以来1カ月以上経つが、何が異次元か(「次元の異なる少子化対策」と言うことになったようだが)はまったく分からないままである。この中で、児童手当の所得制限を止めることと、子どもが多い世帯ほど所得税負担が軽減する「N分N乗方式」を巡る議論が盛んになった。

(maruco/gettyimages)

 筆者は、この両者とも異次元の政策であると思う。ただし、少子化対策としての異次元ではなく、金持ち嫌いな日本の政策の次元を変えるものだからだ。

 まず、児童手当の所得制限撤廃は実現するようである。その理由は、東京都の小池百合子知事が、所得制限を設けないと明言したからだろう。さらに「共働きや、一生懸命働いて税金も納めているような方々が給付の対象にならないというのはあたかも罰を受けているかのよう」とも発言した。

 小池知事が2017年衆院選で設立した「希望の党」は、一時は、自民党を恐怖に陥らせた。安倍晋三元首相は、その回顧録で、「小池さんにやられた。これは大変なことになったと思った」と顧みている(『安倍晋三回顧録』265頁、中央公論新社、2023年)。そのことを覚えている人たちが、「あれはたまらない、所得制限はなし」だと言い出したのだろう。

 また、自民党は、2010年の民主党政権の、所得制限なしの子ども手当を執拗に批判したことを「反省する」とまで言ってのけた。筆者は、権力維持のためには過去にこだわらない自民党の凄みを感じた。


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