2023年10月4日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2023年4月16日

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中島恵 (なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年山梨県生まれ。新聞記者を経てフリージャーナリスト。主な著書に『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(ともに日本経済新聞出版社)、『爆買い後、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『なぜ中国人は財布を持たないのか』(日本経済新聞出版社)、『中国人富裕層はなぜ「日本の老舗」が好きなのか』(プレジデント社)『日本の「中国人」社会』(日本経済新聞出版社)、『いま中国人は中国をこう見る』(日経プレミアシリーズ)、『中国人が日本を買う理由』(日経プレミアシリーズ)などがある。

解決策は中国から離れること

 このように、政府が過熱する受験競争や学習塾の業績争いを抑制するために政策を打ち出しても、「結局、あまり変わらないのではないか」とその保護者は言う。

 実情を理解している人は、単に学習塾をなくしたり、宿題を出さなくしたり、というだけでは根本的な解決にならないことをわかっているからだ。厳しすぎる「高考」(ガオカオ=中国の大学入試)の制度改革をしなければ世の中も変わらない、と訴える保護者もいるが、そこから抜け出すには、子どもが「高考」を受けずに済む環境を手に入れること、つまり、中国を離れるしかない。

 前述の上海に住む保護者は「富裕層であれば、中国以外という選択肢があり、海外の伸び伸びとした環境で子どもを育てることもできるかもしれませんが、中国でずっと生活するのであれば、国内の教育環境から逃れることはできません。子どもがかわいそうだと思いますが、親ができるだけ手助けしてあげて、子どもの精神的負担を軽くしてあげるしかない。そう思っています」と話していた。

   
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